＿＿君を忘れたくない【場地圭介】

36話 ページ37

ようやく治まってきた頃

「ったく……やっと笑ったな」


「え？」


「最初顔見た時から表情が死んでたんだよお前」



そう言われて慌てて顔をぺたぺた触り始めると今度はドラケン君が笑い始めた



「お前はそうやって笑ってんのが一番なんじゃねぇか？？」


「ドラケン君、さてはそうやって女の子をおとしてきたんだな」


「は？」


相手のちょっとした変化を知って、すぐ解決しようとしてくれる優しい彼を好きになる子は、きっと居るだろう
顔面は怖いかもしれないけど、これだけ優しかったらな




「んな事……ねぇよ」


ドラケン君は変な顔をしてそっぽを向いた

え？そんな意味深な顔して……


「もしかして……好きな人、居る？？」


「……。」


「ふむふむふむ……さいでっかぁー。強面で中身イケメンの君が好きな子なんて……すっごくいい子なんだね」


君に愛される女の子は幸せ者だな、
そう言うとドラケン君は私を見つめて優しく笑った



「じゃあ聞くけどよ……せっかくいい女のお前に愛されてんのに、場地は幸せ者じゃねぇのか？？」


「え……？？」



突然言われた言葉に目を見開いた

なんで、私が場地君の事好きだと



「お前ら分かりやすかったぞ？？」


「なｯ」



うっそでしょ……私達あんま会ったことないのにバレていたの……



「場地は場地で集会来て俺らと喋っててもお前の話を幸せそうに話してるしよ」


「あの、ごめんなさい。おちょくったのは謝るんでそこの辺で勘弁してー！」


「んだよ、まだあんぞ？？」


「まだあることに驚き轟ヤシの木！！」


「すまんなんて？？」




場地君何してくれてんのぉぉぉ！
今ここに居たら頭突きかましてたわ……

熱くなった頬を冷ましたい一心で手で仰ぐ




「あら、話は終わったかしら？」


「終わりマシター」


「なんでAは顔赤らめてるの？？

場地君を差し置いてその子にときめいちゃったの！？」


「ママ、違う違う。違うから！」



腹を抱えて笑うドラケン君、ちょっと頭突きしていいかな？？

この人一昨日手術して今日集中治療室から来たんだよね？？なんでそんな普通な顔なの？？
え、タフなの？？


やっぱり自販機は違う……



「お前なんか失礼なこと考えた？？」


「気の所為じゃないっスか！」



うん。自販機は勘がいいことがわかった。





場地君は、本当に私と居て幸せだったのだろうか


だったら……良いな



けど、私と居て幸せだった記憶を……忘れられるのは辛いな……



私も、幸せだった。
眩しいくらい、幸せだった。

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