33話 ページ34
「なんだよ……」
「ううん、ありがとう、大切にする」
「……おう」
知ってた?場地君、イヤリングを贈る意味は「あなたを守りたい」「いつも一緒にいたい」なんだよ
場地君はバカだから、きっと知らないだろう
ポツリ……ポツリ
「うぉ、雨じゃねぇか!!」
「傘もってきてないよ〜……」
たしか天気予報は晴れだった気がするんだけど……
「そこの木の下行くぞ」
羽織っていた上着を脱ぎ私の頭に乗せ、手を引っ張って木の下へ連れていってくれた
「ったく、今日くらい雨降るなよ」
「天気ばっかりはどうしようもないからね、場地君、この上着ありがと」
「被っとけ、」
いきなり降り始めた雨はだんだん強くなって、木の下に居る私達にも雨が落ちてきた
その度私は場地君の服で雨をしのげているけど、場地君はすでにびちょびちょで濡れた髪の毛を後ろ一つにまとめようとしている
ツンッ
「何じっと見てんだ」
「何もデコピンすることなくない?怪我するの場地君だよ??」
「ちょっと痛かった。」
あぁあ、最後の夏祭りだったのに……好きな人と行ける最初で最後の
「来年……また一緒に行こうぜ」
「……うん!」
ごめんね。
その約束……守ってあげられない
「A」
「どうし」
たの?そう続けようとしたその口を、なにかに遮られた
それは一瞬のことだった
まつ毛が、鼻先が、触れるほど真近に場地君の顔があった
唖然としていたら、お得意の犬歯を見せた笑みでは無く、とても優しい笑みをしながら私を見つめていた
___あぁ、君はなんて、ひどい人
諦めようと決心した私の心を揺らがせる、ひどいよ、場地君
友達にすら戻れなくなった
場地君から香る微かなシトラスの匂いに囲まれて、私は幸せだと笑った
雨が止んできた空を見て、バイクで来たと言う場地君について行った
渡されるヘルメット、今回乗せられたのは場地君の前、浴衣だから跨るたいうよりも横座りをした
バイクの音でかき消されるような小さな声で「大好き、さようなら」と呟いた
「着いたぞ」
「ありがとう場地君」
案外早くついてしまった家、
「おう。すぐ着替えろよ、冷えるからな」
「それを言うなら場地君もでしょ?」
「俺は馬鹿だから風邪ひかねぇ」
「あ、そうだった」
「おい。」
「じゃぁまたな」と手を振ってくれる場地君に、何も言わず手を振り返した
きっと「また」はないから
借りたままの上着にそっと唇を落とし
"さようなら"
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炭子(プロフ) - かえる38さん» 最後まで読んでいただきありがとうございます!!!この作品で感動してくれた事が私はとても嬉しいです!その言葉で書いてよかったと思えます。ありがとうございました! (2021年8月11日 23時) (レス) id: 3a1716b698 (このIDを非表示/違反報告)
かえる38(プロフ) - とっても素敵なお話でした! 心が暖まって、泣けてきて……。無料で読んじゃっていいんですか!?、ってレベルのクオリティで本当に感動しました。素敵なお話を書いてくださってありがとうございます!読んでて凄い楽しかったですっ!!! (2021年8月9日 14時) (レス) id: dc610bcb00 (このIDを非表示/違反報告)
炭子(プロフ) - カメ豆腐さん» この作品で泣いてくださってありがとうございます!!続編、楽しみにしててください笑 (2021年8月8日 2時) (レス) id: 3a1716b698 (このIDを非表示/違反報告)
炭子(プロフ) - はるるさん» この作品で胸いっぱいにできてとても嬉しいです!!お優しいっ!!はるる様も体調崩さぬよう、健康を願っています!!長文ありがとうございました!!また続編もよければ見てくださいね! (2021年8月8日 2時) (レス) id: 3a1716b698 (このIDを非表示/違反報告)
カメ豆腐(プロフ) - ガチで泣いちゃいました!続編楽しみにしてます!! (2021年8月8日 1時) (レス) id: 78458b5353 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:炭子 | 作成日時:2021年7月9日 7時