＿＿君を忘れたくない【場地圭介】

31話 ページ32

8月3日当日

ママは私服で行こうとする私を全力で止めてきた


「夏祭りデートに私服はダメよ！！やっぱり浴衣でしょっ！」


「えぇー下駄履かないといけないじゃん。ちぎる予感しかしないけど？」


「いいシチュエーションじゃない。おぶってもらいなさい。」


「ママ鼻血、鼻血。」


ママは前々から用意していた浴衣を渡してきた、

紫を基調とした浴衣で、蝶が描かれているとても綺麗な浴衣だった

髪飾りはスミレの花で見るからに高そうだ。


「着付けをしてあげるからいらっしゃい」


「うん！」


久々に着る浴衣はやっぱり歩きづらかった。


髪もアレンジしてもらって、少しは可愛いと思ってくれるかなと思ってしまう




「A、好きな人に少しでも振り向いてもらいたいと思うのは誰だってそうよ

だからね、女の子は好きな人のために紅をさすの」



紅をさす……なんて今どき聞かないけど

母によって血色良く塗られた唇は色白の顔にはとても良く映えていた




「綺麗よ、A」


「当たり前だよ、私ママの子だよ？？顔だけには自信あるわ」


「そうね」


緩く口角を上げた2人の顔はどこまでも親子で、綺麗に見えた



集合時間まであと、30分

今日は現地集合ということで私はママに連れて行って貰う



家が近いのに現地集合するっていうのが少し恥ずかしくてワクワクする




神社の近くまで来ると結構人が集まっているのか渋滞になっていた


「ママ、私ここで降りるよ」


「そう？ごめんね近くまで行けなくて、」


「ううん、連れてきてくれてありがとう、行ってきます！」


「行ってらっしゃい！」




歩道を歩く人の多くはカップルだったり親子連れ、友達同士だった



「場地君どの辺だろう」


「そうだな、後ろじゃねぇか？？」


「！！？？場地君！！ちょっともう少しで手が出るところだったじゃん！！」


「おうこの距離だったら確実に入ってたな。」



この喧嘩バカが。

今日の場地君の私服は今までに見た事がないくらい場地君に似合っていてかっこいい


「浴衣、似合ってんじゃん……かわい」


「かわっ！！おう、おうともよ私はビューティフル。」


「んなテンパんなよ笑」



アンタのせいでしょうがｯ！！

こっちの気も知らないで



「んじゃ行くか。」


「奢らせるからね」


「なんでだよ。」



かき氷は前言った通り全賭けして食べた
すんごい意味わからん味がした

いちばんびっくりしたのは本当にペヤング味があったこと

だれも頼んでいなくて場地が目をキラキラさせながら死ぬほどかけてた

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