＿＿君を忘れたくない【場地圭介】

29話 ページ30

それでも、無理して笑ってるって……なんでそんなこと言われたんだ



「お前、なんかあった後はいっつも笑おうとしてる。無理やりにでもずっと。」



「へ？……」



気づかなかった、辛い的こそ笑えって誰かが言ってたから。ずっと笑ってた……


「無理して笑ってる時のお前の顔、最高にブスだぞ」


「いや酷っ」


場地君は口が悪いんだからオブラートに包んだ言い方とか知らないんだろうな……てかオブラートってなんだって言ってきそう


どうしよう。なんて言い訳しよう、



「えっ……と。」


「言いたくないなら今は言わなくていい。ただ俺の前でそんな無理して笑うんじゃねぇ。」


ブスを晒すなってってそう言われたけど


なんで言いたくないってわかったの……
そう小声で言えば場地君は私の頭を雑に掻き回して


「何でもかんでも俺らに言うお前が、俺らに言えねぇってことはお前自身ずっと悩んでることだろ。

無理して聞いても自分自身が整理出来てねぇのに他人の意見なんか入れられるのかよ。
俺は無理だね。」


そっ……か、
先生の話もママの話も全く受け入れられなかったのは、自分の心が整理出来ていなかったからだ

自分ではしてたつもりだったけど、言われて気づいた



「だか覚えとけよ。ほんとに辛くなった時助けてって言えば俺らは何処にいても助けてやる



なぁ千冬？？」



「へ？」


先に帰ったはずの千冬、
場地さんがそう言うと扉が開き申し訳なさそうな顔をした千冬が立っていた



「今日Aおかしかったから。気になってて。」


「千冬……」



千冬にまで心配かけた……



「お前、今心配かけてしまったーとか思ってんだろ」


「え、なんで」


「お前すぐに顔に出てんぞ

心配かけたとか……そんなんダチなんだから心配するの当たり前だろ。馬鹿か？？今更後悔してもおせぇんだよ」



どんどん口が悪くなっていってると思うのは私だけだろうか？？

でもなんだろう、喉につっかえていたものが少しずつ無くなってる



「あれ、おかしいな、つっかえてたの、なくなってきたのに、涙がでてくる」


ママが私の前で泣かなくなった理由……それは私が泣かなくなったからだ。


いつからか本心を打ち明けるということを我慢し始めて、それが溜まって溜まって自分ではどうしようも出来なくなって

涙が出なくなったなら笑おうって思ってずっと笑ってたけど



そっか、無理しなくていいんだ。



ﾎﾟﾌｯ



「よく耐えてきたな。頑張ったな。」




その言葉に私の今までの我慢が報われた気がした

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