＿＿君を忘れたくない【場地圭介】

23話 ページ24

それから2ヶ月半が経った7月下旬

ミンミンと夏の訪れを告げるセミの鳴き声が毎日聞こえてきはじめて、いつの間にか制服も夏服に変わっていた


ﾈﾊﾞﾈﾊﾞ


「なんか増えてんだよなぁ」


「「んあ？」」


「あれこの光景前にも見たぞ。」


「ママ朝からイケメン二人に会えて若返った気分よ」



毎朝、うちに朝ごはんをたかりに来ていたのは場地君だけだったのだが、いつの間にか千冬も混ざっていた

いや千冬は可愛い弟だから許そう。

ﾈﾊﾞﾈﾊﾞﾈﾊﾞﾈﾊﾞ



「千冬、あーんしてあげようか？」


「俺ガキじゃねぇ……」


「知ってる。可愛い弟よ」


弟でもねぇよと、言っているが照れてるだけなんでしょ〜知ってるよ私。

ﾈﾊﾞﾈﾊﾞﾈﾊﾞﾈﾊﾞﾈﾊﾞﾈﾊﾞﾈﾊﾞﾈﾊﾞ




「おいA、朝から千冬ナンパすんなや。」


「千冬みたいな可愛い子ほっとく方が恥だと思う」


「お前はどこぞのホストか。」


「それを言うならホステスだよ、me女の子」


止められてもあーんするもんね、待っててね千冬ぅ！


ﾈﾊﾞﾈﾊﾞﾈﾊﾞﾈﾊﾞﾈﾊﾞﾈﾊﾞﾈﾊﾞﾈﾊﾞﾈﾊﾞﾈﾊﾞﾈﾊﾞﾈﾊﾞ




「さっきっからネバネバうっせぇな！？何なんだ！」


「納豆だよ、見てわかんない！？」


「読者が分かるわけねぇだろ察せよ！！」


「読者って何読者って！！」



私は今高速で納豆かき混ぜてんの、ネバネバのギネスとるんだから




「ほぉら千冬、口開けて？」


「なんか嫌な予感と悪意しか感じない！！」


失礼な、私はただ可愛い弟にあーんしたいだけだよ……私が丹精込めて粘りに粘らせたこの納豆を


これはお礼だよ千冬くん。この前良くもまぁ私の盛大に転けた姿を写真撮って場地君に見せやがったなぁ？



「おらあーん！！」


「ﾑｸﾞｧｯ！！なんスかぁこれ！めっちゃネブァネブァ！」


「ふはは無様！」ｽｺｫﾝｯ



口元にネバネバをつけて喋りづらそうにしている千冬を指さして笑っていたは突然後頭部に衝撃が走った


「食べ物とイケメンで遊ばない……」


「ま、ママ」


フライパン片手に般若の顔でそう言ってきた

え、フライパンで叩いた？？仮にも可愛い娘を？？そんな凶器で！？

別になんともないけど！！


「あら、フライパンが歪んじゃったわ。やっぱりフライパンじゃだめだったようね」



「ごめんッス、なんでフライパンの方にダメージいってんの」



「千冬ぅ、気にした方が負けだゾ」


そうなのだろうか。いや、場地さんが言うのだからそうなのだろう。そうなのだと信じたい

24話→←22話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す