37：向こう側 ページ38
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「───そうよ」
「呼ぼうか？」
「うん、お願い」
休み時間が始まって少し経った頃、女子数名がドアに向かって話をしていることに気付いた。いや、正確には少しだけ開けられたドアの向こうにいる誰かと話をしていた。
締め切られていた教室の冷気が、そっと開けられたドアから少しだけ抜けていく。
「切島ー！」
芦戸の声が教室中に響き渡り、爆豪たちと談笑していた切島もすぐに気付く。
「俺？」
「うん、届けものだって。普通科の子だったけど知り合い？」
普通科というワードに俺はピンと耳が立ったが、切島は小首を傾げて教室を出る。ヒーロー科は普通科の生徒とは全くと言っていいほど接点が無いからだ。
興味本意で少し身を捩って窓越しに廊下を見ると、そこには朝見かけなかった天野が佇んでいた。
「他科の子が急にどうしたんだろ」
「もしかして呼び出し？」
「告白だったりして!?」
葉隠がそう言ったのを皮切りに、女子たちからは黄色い悲鳴が上がり、峰田は「青春してんじゃねえよ！！」と叫んだ。
「まてまてまて、"届け物"だろ？これはアレだ、ラブレターを渡しに来たんだよ」
誰かがそんなことを言い出して、クラスの視線は廊下の2人に釘付けになる。
──天野が、切島にラブレター…。
クラスメイトの大半が、俺が文通をしていることを知らないように、俺が知らないだけで天野もヒーロー科と交流していたのか。
そもそも天野が渡すものがラブレターだと決まったわけじゃ……いや、友人の文通を手伝うようなやつだ。ありえない話じゃない。
その証拠に、エアコンの音で二人の会話はよく聞こえないが、切島は凄く楽しそうに話をしている。そんな彼を見ているせいか、天野もつられて微笑んでいる。壁一枚隔てた向こう側は、まるで二人きりの世界みたいだ。
「あの二人、なんかいい感じじゃない？」
また誰かがそう呟いた始業の三分前、二人は揃ってどこかに消えて行った。教室内は軽くパニック状態だ。
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つぎはぎウルフ(プロフ) - あかねさん» こちらにもコメントしてくださりありがとうございます。楽しみにしていただけてとても嬉しいです。あかねさんも体にお気をつけて、陰ながら創作活動を応援しております。こちらの小説も更新頑張ります！ (2020年7月16日 17時) (
レス) id: 845ea04d4f (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - つぎはぎウルフさんの作品はどれも続きが気になるものばかりで、常に続きを楽しみにしながら読んでいます。これからも更新楽しみにしながら待ってます！体に気をつけて自分のペースで更新頑張ってください！ (2020年7月16日 7時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
つぎはぎウルフ(プロフ) - きなこもちさん» ありがとうございます。私も楽しみながら書いているものを楽しく呼んでもらえて嬉しいです。コメント読んでいて思わず顔がにやけちゃいました…(笑) 気に入ってもらえて何よりです(o^^o) 更新頑張ります。 (2020年7月14日 18時) (レス) id: 845ea04d4f (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 更新お疲れ様です！いつも楽しく読ませていただいてます。今までそこそこの量のヒロアカ二次創作を読んできましたが、この作品が一番好きかもしれません...！これからの展開がとっても楽しみです(´∀｀)応援しています！！！ (2020年7月13日 20時) (レス) id: 6f695c5604 (このIDを非表示/違反報告)
つぎはぎウルフ(プロフ) - ゆり。さん» ありがとうございます！ヒーロー科×他科の生徒、ということで、接点が少ない分表現が一辺倒になっていないか心配だったのですが、そう言ってもらえて自信がつきました。もうしばらく続きますので、今後も応援よろしくお願いします…！ (2020年7月10日 16時) (レス) id: 845ea04d4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つぎはぎウルフ
| 作成日時：2020年6月19日 20時
