34：速達です ページ35
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昨日より三本早い電車に乗ったのは、今日が金曜日だったからだ。
一週間のうち半分は誰もいない時間に登校し、こっそり彼のロッカーに手紙を置く。それがこの数週間の日課だった。しかし、昨日渡した手紙が翌日に返ってくるわけがない。それなのに早起きが癖づいて、こうして朝早くに登校してしまった。
けれども、授業が始まるまでの時間を予習に充てることにも慣れたので苦では無い。
昇降口は人の密集による蒸し暑さはないが、昨晩降った雨でじめっと感じるので空気を散らすように個性を使う。静かだから、風の音がよく耳に届いた。
「天野、」
──背後から突然聞こえた彼の声も、また然り。
驚きのあまり声が出せないでいると、轟くんは「早いな」と続けて、靴を履き替えるよりも先に鞄に手を掛けた。
「これ、橘に渡してくれ」
「っ、うん…」
動揺しつつも手渡された淡い水色の封筒を受け取る。
最速でも月曜日に届くはずなのに、どうして…？
──私が予定を変更して早く渡したから、やっぱり彼は次の手紙の催促だと捉えてしまったのか？
「今回、書きやすかった」
「…え？」
彼が想定外の言葉を紡ぎ、私の脳は思考が滞る。
「でも書きたいこと多くて、いつもより文量が多くなっちまった。悪い」
「！そんな、謝ることじゃないよ──」
むしろ、と続けそうになって慌てて口を噤む。封筒の真ん中に書かれた私じゃない宛名を読み返すと、頭がすうっと冴えていった。
友人A(仮)が表立って干渉するのは変だ。だってこれは轟くんと美亜の文通なのだから。
「美亜、喜ぶと思う」
そう言いながら、やるせない気持ちを隠すように薄く笑った。
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つぎはぎウルフ(プロフ) - あかねさん» こちらにもコメントしてくださりありがとうございます。楽しみにしていただけてとても嬉しいです。あかねさんも体にお気をつけて、陰ながら創作活動を応援しております。こちらの小説も更新頑張ります！ (2020年7月16日 17時) (
レス) id: 845ea04d4f (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - つぎはぎウルフさんの作品はどれも続きが気になるものばかりで、常に続きを楽しみにしながら読んでいます。これからも更新楽しみにしながら待ってます！体に気をつけて自分のペースで更新頑張ってください！ (2020年7月16日 7時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
つぎはぎウルフ(プロフ) - きなこもちさん» ありがとうございます。私も楽しみながら書いているものを楽しく呼んでもらえて嬉しいです。コメント読んでいて思わず顔がにやけちゃいました…(笑) 気に入ってもらえて何よりです(o^^o) 更新頑張ります。 (2020年7月14日 18時) (レス) id: 845ea04d4f (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 更新お疲れ様です！いつも楽しく読ませていただいてます。今までそこそこの量のヒロアカ二次創作を読んできましたが、この作品が一番好きかもしれません...！これからの展開がとっても楽しみです(´∀｀)応援しています！！！ (2020年7月13日 20時) (レス) id: 6f695c5604 (このIDを非表示/違反報告)
つぎはぎウルフ(プロフ) - ゆり。さん» ありがとうございます！ヒーロー科×他科の生徒、ということで、接点が少ない分表現が一辺倒になっていないか心配だったのですが、そう言ってもらえて自信がつきました。もうしばらく続きますので、今後も応援よろしくお願いします…！ (2020年7月10日 16時) (レス) id: 845ea04d4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つぎはぎウルフ
| 作成日時：2020年6月19日 20時
