27：好み ページ28
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私と美亜と緑谷くんたち三人、そして普段彼らと一緒に昼食をとっているらしい轟くんと同じテーブルについた。
でもまさか緑谷くんたちが轟くんと同じクラスだとは…その上お昼を共にするほど仲良しだなんて。彼のことはだいぶ知った気でいたけれど、流石に交友関係は聞けなかったから迂闊だった。
四人のヒーローの卵と、普通科とはいえクラス屈指美女。そしてどこを取っても平々凡々な私──自分の場違い感が否めない。
五人の楽しげな会話も右から左に流れていくだけで思考に繋がらず、緑谷くんに根負けした形で奢られた昼食はまだほとんど手を付けていない。
「ね、Aちゃん」
「っ、うん」
だからいきなり話を振られても何のことだかサッパリで、文字に起こせばいかにも愛想笑いと分かる笑い声を零した。それを誤魔化すように日替わり定食の唐揚げを頬張る。
けれど正面には美亜が、斜め前には轟くんが座っていて何だか落ち着かない。
「美亜ちゃんは蕎麦好きなん？」
「この前轟くんと一緒にご飯食べた時にね、轟くんが美味しそうに食べてたから、今度一緒に食べる時は私も蕎麦にしよーって決めてたの！」
美亜はそう言って隣に座る轟くんににっこりと笑いかける。まあ、彼は蕎麦に夢中になってその笑顔も気に留めていなかったが。
「美味いよな」
「うん！ここの美味しいよね！」
でも割と会話が弾んでる…？早く食べ終わって邪魔者は退散すべだな。とは言えど無言のままなのは雰囲気を害すか…。
「轟くん、ほんとに蕎麦好きだよね」
何気なくそう呟くと、会話がピタリと止まった。
「天野さんよく知ってるね。轟くんが蕎麦好きなこと」
──もっと気を付けるべきだった。クラスの違う四人との会話で、無意識でも話せるのは彼の事だけだと。そしてその理由が、私宛じゃない手紙を読んでいるからだと。
「顔、顔がね、緩んでる気がした」
心は滝汗をかきながら、口が必死に弁明する。すると彼以外は納得した。
「ポーカーフェイスが緩む瞬間だよね！」
「確かに！」
「そうか？」
なんとか誤魔化せた＿。
「天野は唐揚げが好きなのか？」
「うん──」
あれ、轟くんの前では嫌いなふりをしていたんだっけ。どうして女の子らしくないのに揚げ物を食べているんだろう。……違う、それは美亜の話で、私は別に好きでも嫌いでも──
「Aちゃん？」
お箸を持ったお茶子ちゃんの手が視界に入り、思考の渦から現実に引き戻された。
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つぎはぎウルフ(プロフ) - あかねさん» こちらにもコメントしてくださりありがとうございます。楽しみにしていただけてとても嬉しいです。あかねさんも体にお気をつけて、陰ながら創作活動を応援しております。こちらの小説も更新頑張ります！ (2020年7月16日 17時) (
レス) id: 845ea04d4f (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - つぎはぎウルフさんの作品はどれも続きが気になるものばかりで、常に続きを楽しみにしながら読んでいます。これからも更新楽しみにしながら待ってます！体に気をつけて自分のペースで更新頑張ってください！ (2020年7月16日 7時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
つぎはぎウルフ(プロフ) - きなこもちさん» ありがとうございます。私も楽しみながら書いているものを楽しく呼んでもらえて嬉しいです。コメント読んでいて思わず顔がにやけちゃいました…(笑) 気に入ってもらえて何よりです(o^^o) 更新頑張ります。 (2020年7月14日 18時) (レス) id: 845ea04d4f (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 更新お疲れ様です！いつも楽しく読ませていただいてます。今までそこそこの量のヒロアカ二次創作を読んできましたが、この作品が一番好きかもしれません...！これからの展開がとっても楽しみです(´∀｀)応援しています！！！ (2020年7月13日 20時) (レス) id: 6f695c5604 (このIDを非表示/違反報告)
つぎはぎウルフ(プロフ) - ゆり。さん» ありがとうございます！ヒーロー科×他科の生徒、ということで、接点が少ない分表現が一辺倒になっていないか心配だったのですが、そう言ってもらえて自信がつきました。もうしばらく続きますので、今後も応援よろしくお願いします…！ (2020年7月10日 16時) (レス) id: 845ea04d4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つぎはぎウルフ
| 作成日時：2020年6月19日 20時
