14：挨拶からはじめましょう ページ15
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あちらの職場体験の期間を除けば、文通は三週間目に突入し、カレンダーは六月になった。
結構続くんだなとか、今日の一時間目の授業は何だったっけとか。まだほんのりと霧のかかった頭でぽつぽつ浮かぶ問いの答えを考えながら靴を履き替え、手紙を入れた彼のロッカーを閉めた。その直後、
「なあ」
誰かに声を掛けられて肩が跳ねた。これが一度目の驚き。
すぐさま振り返ると、その声の主が判明して息が止まった。これが二度目の驚き。アーモンド型のオッドアイが、不思議そうにこちらを見つめている。
「ぁ…その、」
口内が急激に渇きを覚えて、背中から汗が吹き出すような感覚というものを生まれて初めて体現している。
手紙を入れるところを見られた？バレた？
封筒、手紙、美亜から轟くんへの、手紙──
「…
「え」
「……え」
"入梅の頃となり？"
ああ、時候の挨拶か。六月上旬の今の時期にピッタリな──えっ…なんでこんな時に時候の挨拶が出てくるの！？誰か私の頬に右ストレートを決めてくれ そうじゃないと恥ずかし過ぎて生きた心地がしない！！
「…今、俺のロッカーに手紙入れたよな？」
手紙を入れるところを見られた。まずい、まずいまずいまずい。
脳内に荒々しい警告音が鳴り響く。
「もしかして、橘──」
「私は頼まれて
文字通り、風のようにその場を去った。
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「A大丈夫？」
「大、丈夫」
そう答えておきながら、両肘をついて頭を垂れている机の下ではがくがくと足が震えていた。大して体力も無いのに100m走日本記録を塗り替えるくらいの速さで走った代償だ。
ちゃんと私じゃないって言ったし大丈夫。橘さんはもっと美人ですとか言った方が良かったかもしれないけれど…。大丈夫、な、はず。
私が何の問題も起こさずに文通を続けた実績がある。でもそれ故に生じた"慣れ"や油断が今朝の失態に繋がった。
初心に帰らねばと頬を叩いた。今後は轟くんに会わないようにしなきゃ。美亜の“運命かつ本気の恋”を、表立つことの無い友人Aとして応援すると決たのだから。
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つぎはぎウルフ(プロフ) - あかねさん» こちらにもコメントしてくださりありがとうございます。楽しみにしていただけてとても嬉しいです。あかねさんも体にお気をつけて、陰ながら創作活動を応援しております。こちらの小説も更新頑張ります！ (2020年7月16日 17時) (
レス) id: 845ea04d4f (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - つぎはぎウルフさんの作品はどれも続きが気になるものばかりで、常に続きを楽しみにしながら読んでいます。これからも更新楽しみにしながら待ってます！体に気をつけて自分のペースで更新頑張ってください！ (2020年7月16日 7時) (レス) id: e8088c70b5 (このIDを非表示/違反報告)
つぎはぎウルフ(プロフ) - きなこもちさん» ありがとうございます。私も楽しみながら書いているものを楽しく呼んでもらえて嬉しいです。コメント読んでいて思わず顔がにやけちゃいました…(笑) 気に入ってもらえて何よりです(o^^o) 更新頑張ります。 (2020年7月14日 18時) (レス) id: 845ea04d4f (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 更新お疲れ様です！いつも楽しく読ませていただいてます。今までそこそこの量のヒロアカ二次創作を読んできましたが、この作品が一番好きかもしれません...！これからの展開がとっても楽しみです(´∀｀)応援しています！！！ (2020年7月13日 20時) (レス) id: 6f695c5604 (このIDを非表示/違反報告)
つぎはぎウルフ(プロフ) - ゆり。さん» ありがとうございます！ヒーロー科×他科の生徒、ということで、接点が少ない分表現が一辺倒になっていないか心配だったのですが、そう言ってもらえて自信がつきました。もうしばらく続きますので、今後も応援よろしくお願いします…！ (2020年7月10日 16時) (レス) id: 845ea04d4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つぎはぎウルフ
| 作成日時：2020年6月19日 20時
