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「先輩、さっきの人とつきあうんですか?」




掴んでいたわたしの腕を離して、莉犬くんが言った。







発端はついさっき。



クラスの男子に呼び出された私は、体育館裏に行くと告白をされたのだ。







「え?」


やっぱりさっきの聞かれてたんだ……。


でもなんだか現実感がなくて、いまだにわたし自身も告白されたなんて信じられない。


「あの人に先輩のこと渡したくないです……」


莉犬くんが切なそうな声でつぶやいた。


「……莉犬くん?」


なんだか莉犬くん、いつもと様子が違う……。


そう思った次の瞬間、目の前が暗くなった。





一瞬、何が起きたのかわからなくて。


莉犬くんに抱きしめられているんだと気づくのに、数秒かかった。


「ちょっと、莉犬くん!?」



慌てて離れようとしたわたしを、莉犬くんはまるで逃がさないという様に強く抱きしめて、わたしの耳元で囁くように言った。


「先輩は俺のことだけ見てて」


莉犬くんの言葉が頭の中でリプレイされていく。




抱きしめられた腕は力強くて、小さいと思っていた身長は、見上げるくらい大きくて。


莉犬くんは“男の子”なんだって気づかされて、ドキドキしてるわたしがいる。


「瑠香先輩にとって、俺はただの後輩ですか?」


わたしを抱きしめたまま、莉犬くんが言った。







わたし自身、自分の気持ちがわからないんだ。


ずっと、莉犬くんは弟みたいな存在だって思っていたのに。


莉犬くんが可愛い女の子と仲良さそうにしてるところを見たらイヤな気持ちになって。


莉犬くんのこと、他の女の子に取られたくないって思ってる。




でも、それって……。


「俺は先輩のこと、ただの先輩なんて思ってないですから」




何も答えられずに黙っていたわたしに、莉犬くんが言った。


「……え?」


「ねぇ、いい加減俺の気持ち気づいてくださいよ」


晴くんがそうつぶやいて、唇に何かが触れた。







初めてのキスは、甘い甘い味がした。




「で、先輩はどうなんですか?」





そう覗き込むように聞いてくる莉犬くん。




「…っ好き。莉犬くんのこと。」




莉犬くんの背中に手を回しながら言う。



莉犬くんは驚いたように体をびくっ、とさせたけどすぐに抱き締め返してくれた。




「俺、先輩のこと大大大好きです」


「私も、大好き。」



















たった今、小さな恋が2つ実りました。

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亜紀(プロフ) - きゅん… (5月15日 21時) (レス) id: 5c183bf116 (このIDを非表示/違反報告)
さめち@りっちゃんらぶ(プロフ) - りちゅき@さめちゃんらぶさん» しっかり見てるぞ…ついさっきうるっときてたところだった… (5月11日 19時) (レス) id: 03781501d5 (このIDを非表示/違反報告)
さめち@りっちゃんらぶ(プロフ) - まって、めっちゃ心に染みる…これだからさすがびっぐらぶは…(?) (5月11日 19時) (レス) @page40 id: 03781501d5 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀(プロフ) - ごめんなさい!りっちゃんも忙しいよね。断って下さい🙇 (5月10日 22時) (レス) id: 5c183bf116 (このIDを非表示/違反報告)
りちゃ - はんのーいいねー!!心ぎゅんぎゅんだよ!!! (5月10日 17時) (レス) id: 2672702b1b (このIDを非表示/違反報告)

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作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/n15a76543b1  作成日時:2023年4月2日 14時

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