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しばらくして線香花火に火がつき、パチパチと弾けだした。
2人で石に座って、弾ける線香花火をじっと見つめる。
「なぁ、Aちゃん」
『ん？』
言おうと思ってることがある。今伝えなきゃいけないと思うんだ。
この気持ちを、君に伝えたい。
俺は顔を上げ、花火に視線を注ぐ彼女を向く。
「…俺、、Aちゃんのこと……すき、やねん」
反射で振り向いたAちゃんの顔は心底驚いてるようで、揺れず固定されてた片手は大きく揺れて線香花火はポトッと呆気なく地面に落ちた。
でも、Aちゃんは花火の行先を見ずに、俺をじっと見つめてる。
『え…』
「なんか、今伝えなあかん気がして｣
うまく言葉がまとまらなくて、えっと、とかその〜、なんて言葉ばかり出てきてしまう。
それでもAちゃんは俺が言い終わるまで待ってくれている。
焦らなくたっていいんだ、って気づいて、なんだか安心した。
1度小さく深呼吸し、意を決す。
「……もしよかったら、俺と、付き合ってくれへんか！」
力がこもって揺れた俺の線香花火もポトッと落ちる。
でも今はそんなの気にしていられない。
言いたいことはちゃんと言えた、伝えられた。
『……はい。私でよければ』
Aちゃんは、少し口角を上げて柔らかく笑った。
「っほんま？！」
『うん！私もシャオちゃんが、好き』
こんな嬉しい未来があるなんて、ほんの少し前の俺はちっとも想像していなかった。
こうやって想っているのは俺だけだと、そう思っていた。
でも、違った。
Aちゃんは俺に好きだと言ってくれた。
「まじか…。ゴメン、俺、片思いやと思ってて、予想外やったからめちゃくちゃ動揺してる…」
『それは私も同じだよ！
シャオちゃん、てっきり私のこと友達くらいにしか思ってへんと思っとった』
「いや、好きやった。……けっこう前から」
初めて一緒に遊んだあの夏休みからきっと、ずっと好きだった。
そうやって楽しそうに、まるでひまわりのように笑う姿が好きなんだ。
「片付け、するか」
『せやね』
あとからAちゃんのお父さんが来るらしいから、道具とかを持ち帰りやすいようにまとめておく。
『明日って、お昼くらいに行くん？』
「せやな。1時に来る電車で帰るわ」
どうあがいたって帰る事実は変わらない。
もちろん寂しい気持ちが強いけど、不思議と不安はない。
「連絡だけは、ちゃんと取ろな」
『うん！』
Aちゃんはパッと笑顔を咲かせた。
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作者名：煽田 -アオタ- x他1人 | 作成日時：2020年8月1日 22時
