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鉛筆を拾ってくれた男性の手が、伸ばしかけて引っ込めた私の手を握る。その大きくて温かい感触は、私に父親の手を想い出させた。
お父さんと同じ……大きくてあったかいな……。
……逢いたい。お父さんやお母さんに、逢いたいよ……。
数ヶ月前に交通事故で亡くなった両親は、二度と私の元には帰って来ない。何日も何日も涙が枯れるほど泣いたはずなのに、悲しい気持ちが消えることはなく、咄嗟に潤んできた瞳を慌てて袖で隠した。
少しの間、私たちは何も喋らず__ただただ、人形みたいにじっと動かなかった。
「……すみません」
ようやく涙が引いたところで、目の前の男性にもう一度声をかけた。そこで初めて彼は、ゆっくりと私の手から顔をあげた。
ゆるくウェーブがかかった金髪に、うっとりとした端正な顔立ちはとても品が良く、ほんのりと上気したその顔には、大人の色気が漂っていた。形のいいくちびるが、バリトンで艶のある心地良い音を奏でる。
「ああ……すまない。春の陽気のせいで、少しぼんやりしてしまったようだ」
「あ、わかります。暖かくて気持ちがいいですよね」
「君の＿」
彼は言葉を一旦切ると、私の手に鉛筆を乗せ握らせるように指を丸め込ませてから、大きな両手で大事そうに優しく包みこんだ。
「とても美しいね。心が震えたよ」
「え？」
何が美しいのか分からずにいると、男性は私の手をジッと見つめながら会話を続けた。
「その__スケッチにさ。あんなに美しく描けるなんて、君の手は本当に素晴らしいね」
「いえ、そんな」
「謙遜することはないさ。自然の素晴らしさがひしひしと伝わってきたよ」
「あ、ありがとうございます」
恥ずかしくなって俯くと、思いがけないお誘いを受けた。
「もうお昼どきだね。もし良かったら、どこかで一緒に昼食でもどうだい？」
「え、あ、あの……す、すみません、今日はちょっと……」
「何か用事でもあるのかな？」
「え、えぇ、まぁ……」
言葉を濁しながら頷くと、落とされていた彼の視線が私の顔に注がれ、両手が申し訳無さそうにパッと離された。
「すまない。君の絵に感動しっぱなしで、ずっと手を握ったままだったよ。初対面なのに、食事に誘ったりなどして図々しくしすぎたな。本当に申し訳なかった」
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m0902(プロフ) - 了解しました ！ありがとうございます！楽しみにしときます！ (2021年2月11日 23時) (
レス) id: cbe2135a28 (このIDを非表示/違反報告)
m0902(プロフ) - また気が向いたら友達になって下さい (2021年2月10日 10時) (レス) id: cbe2135a28 (このIDを非表示/違反報告)
m0902(プロフ) - 初コメです！すごく好きです !!続きも楽しみにしてます！頑張ってください！ (2021年2月8日 10時) (レス) id: cbe2135a28 (このIDを非表示/違反報告)
瑠花 - 初コメ失礼致します…！！世界観や言い回しがすごく好きです！！一気読みしてしまうのも頷けます…！！これからも応援してます！！どうかお身体にはお気をつけてお過ごしください…！それと条件大丈夫です！！続きがすごく気になるのでまってます…！ (2021年1月5日 19時) (レス) id: c4c21690fd (このIDを非表示/違反報告)
もとか - まってます、、、 (2020年8月17日 23時) (レス) id: 4ade42e6d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：光
| 作成日時：2016年10月27日 19時
