炎炎ノ消防隊のシンラが自分のヒーローに

5話 初出動 ページ11

〜Aside〜

『緊急車両が通ります』

外ではアナウンスが流れている。


(火縄)｢もう現場に到着しますよ！｣


空気が張り詰める。


(秋樽)｢火災現場は金具を作っている町工場｣
(秋樽)｢焔ビト化したのは工場長のご夫人.....｣
(秋樽)｢逃げ遅れた従業員が1人いるとの報せだ｣
(秋樽)｢まずはその従業員の救助、それから焔ビトの鎮魂｣
(秋樽)｢工場という事もあって、機材の転倒や落下も予想されるぞ。気をつけろよ！！｣


『川口金具』という工場の前に着いた。

もう既に消防隊が放水作業にあたっていた。


(秋樽)｢水蒸気で視界が悪くなるな.......｣
(秋樽)｢第8特殊消防隊到着しました！｣

(消防隊)｢来たか青線｣

青線とは特殊消防隊の青い発光体のラインからそう呼ばれている。

(消防隊)｢今回の焔ビトはかなり攻撃的なようでな｣
(消防隊)｢飛び火しないように作業しているが焔ビトの鎮魂が出来ねばどうにも.......｣

一人の男性がこちらに近づいてくる。

(工場長)｢つ、妻を.......妻を眠らせてやってください｣


まただ、また

(秋樽)｢第8特殊消防隊突入するぞ！｣
(秋樽)｢上方は熱くなっているかもしれん！｣
(秋樽)｢姿勢は低くしろよ！！｣

(皆)｢｢｢｢は！！｣｣｣｣



また鎮魂という名目で『殺す』


｢シンラ君？｣

森羅の動きが止まっている

(森羅)｢これは.......｣


そうか、見るのは初めてなのか

逃げ遅れた従業員だ。
もう焼けてしまっているが。

(森羅)｢ハァハァ.......｣

森羅の呼吸が速くなる

｢大丈夫！？｣

(森羅)｢は！.......俺！？｣

(秋樽)｢ヒーローになるんじゃないのか｣
(秋樽)｢消防官は仲間を置いて逃げる事はしない。1人の遅れがみんなの遅れになる｣
(秋樽)｢この青い発光体は視界の悪いこの世界で仲間と仲間を繋ぐ絆だ｣
(秋樽)｢決して断ち切るな！｣

力強い言葉

(秋樽)「恐怖心がある方が冷静な判断が出来る」
(秋樽)｢だが、ただの臆病者にはなるな｣

(森羅)｢問題ありません｣



さすが大隊長。



森羅の顔色が元に戻っていく。

炎は最初よりどんどん勢いを増して
工場だ、色々な所にある物に引火して
爆発を繰り返している。

(秋樽)｢この先に焔ビトがいるようだ！マキ頼む｣

(茉希)｢皆さん下がっていてください｣

手を左右にどけただけで
炎の壁が扉のように開けていく。

(秋樽)｢前進するぞ！｣

素早く前へ進む

｢すごい｣

(火縄)｢マキレベルの第二世代はそうそういない｣

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