審神者の話【刀剣乱舞】 (ページ10)

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十話ページ10

「主、ごめんね！
俺達本当に主のことお祝いしたかったんだ。
だから絶対に忘れてなんかないよ！」
　困り顔で話しかけてきた加州に審神者は安心させるように優しく声をかける。
「大丈夫だよ。
元はと言えば私が変に早とちりしちゃったせいだしね。
　それに、今日の為に清光や皆が色々考えてくれた事が解ったから。
それだけで私は凄く嬉しい」
　笑顔で加州と大和守の頭を撫でる彼女に加州は嬉しそうな、大和守はまんざらでもない様子である。

「じゃあそろそろお祝いの準備をしようか。
主も、せっかくなんだから着飾ろうよ」
　燭台切光忠の提案に太鼓鐘がすっくと立ち上がる。
「賛成だな！
今日は主が主役なんだからさー、派手に着飾ろうぜ？」
「あはは、ありがとう。
服はこのままがいいから、ヘアアレンジでもお任せするよ」
「はいはい！俺も主の爪塗ってあげる」
　身だしなみに気をつかう三人が乗り出したところで、刀剣達の集会はお開きとなった。

「…人騒がせな事だ」
　刀剣達が解散し始めた中、ひたすら押し黙っていた大倶利伽羅がぼそりと呟いた。
その小さな声を聞き逃さなかったのか、鶴丸が隣にぼすっと座り込んでくる。
「そう言ってやるな。伽羅坊も誤解が収まって良かっただろう？」
「俺はそんな事一言も言ってない」
　ぶっきらぼうに答える彼に鶴丸は苦笑し、彼の金色の眼を覗きこむ。
「全く素直じゃないな。
折角だ、今日くらいは主に馴れ合ってやろう。
その方が主も驚くかもしれんぞ？」
「……馴れ合うつもりはない」
　茶化すような鶴丸の物言いに大倶利伽羅は声音を低くしたが、その目付きはいつもと違って柔らかく見えた。