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「ヌナ、見ててくださいね」
マークはまだ幼さが宿るきゅるっとした瞳を私に向けて言う。出会った頃に比べたら随分と体格が良くなっているのに、純粋な少年っぽい顔つきがいたく可愛くて私はマークの髪をくしゃくしゃにしてしまいたくなる衝動に駆られた。マークって何でこんなに可愛いんだろう。体育館では今年もバスケ大会が開かれていて、去年同様男女混合のトーナメント戦だった。私のチームはあっさりと初戦敗退してしまい、仕方なく応援に回っていたところ、マークが私のところにまでやってきてそう言った。来たる決勝戦はマークとジェヒョンのチームの対決だった。
「わかった、ちゃんと見てるね」
私がそう言えばマークは口の形をハートにするみたいに笑った。ホイッスルと共にボールが床を跳ねる音が響き、バッシュがキュッキュッと鳴って、ゴールを揺らす。後輩たちの黄色い歓声や野太い応援、楽しそうな表情。これも最後かと思うと何だか切なかった。試合はジェヒョンとマークの点の取り合いでインカレでもないのにやけに激しい。マークに見ててと言われたのに、視線は気付いたらジェヒョンを追っていて、それは不可抗力に近いことだった。彼は私の視線も、私の心も奪い掴んで離さない人だから。
「お疲れ様」
「……負けちゃいました」
「上手だったよ。あんなにバスケが上手いなんて知らなかった」
「練習したんです。ヒョンに負けたくなくて」
床に寝転がっていたマークに話しかけるとマークは上体を起こした。本当に悔しそうな表情をしていて、私は彼を慰める。マークの言う通り、ジェヒョンのチームが優勝してマークは負けてしまった。「冬もあるよ」と言うと「それだと意味がないんです」と言い、いじけたまま。……まぁ、確かにジェヒョンはこれで引退だけど。そんなにジェヒョンに負けたくなかったなんて知らなかった。しばらくただマークのそばにいれば、ジェヒョンが私の名前を呼んだのでマークの元を離れて私は歩き出した。
『見てた？』
「気付いたら目で追ってた」
『はは、なにそれ』
「バスケしてる時のジェヒョン、活き活きしてた」
『格好良かった？』
「うん、また惚れ直した」
それは良かったと言って頰に笑窪を浮かべると、私の頭を柔らかく二度触れた。それだけでぐわぁっと胸が締め付けられる。そんなことをしたら今すぐにでもジェヒョンを抱き締めたくなるのでやめて欲しい。あぁ、この抑えられない衝動はどうしたらいいのか。堪らなくなって私はジェヒョンにだけわかるように声には出さずに「すき」と口の形を動かした。するとジェヒョンは耳まで真っ赤に染めて『俺も』と言った。
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nana(プロフ) - マーク派です🥲素敵な作品をありがとうございます！ (5月7日 2時) (
レス) @page37 id: 52c5480e12 (このIDを非表示/違反報告)
ruko(プロフ) - c128さん» とにかく丁寧に気持ちを表現してみようと書き始めた長い作品なのでそこを汲み取っていただけてとっても嬉しいです😭少しスランプ気味で更新が遅いですが必ず書きたいお話がシリーズ４にあるので頑張りたいと思います🙇🏻♀️ (5月6日 21時) (レス) id: 683ee61126 (このIDを非表示/違反報告)
ruko(プロフ) - 奈胡（元jen）さん» 想定ではシリーズ５まである予定です😂本当に、長い作品なのにここまでお付き合いいただけて嬉しいです🥲全ては色んなことに繋がっているので楽しみにお待ちいただければと思います！ (5月6日 21時) (レス) id: 683ee61126 (このIDを非表示/違反報告)
c128(プロフ) - 本当に言葉選び一つ一つが素敵で、主人公がジェヒョンを大事に思う気持ちが丁寧に痛いほど伝わってきます。ジェヒョン、主人公はあなたのことが大好きだからマクのこと心配しなくてもいいよと私たちみんなで伝えてあげたい！更新楽しみにしてます！ (5月4日 15時) (レス) id: d7b773ac82 (このIDを非表示/違反報告)
奈胡（元jen）(プロフ) - …シリーズ7くらいまでお願いしたいです……主人公ちゃんがこれからどうなるのか…まあすんなりはいかないよな…ああでも幸せに波風が立つのは困る…切なすぎるrukoさん！ (4月29日 8時) (レス) @page35 id: 8b083b7e19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ruko | 作成日時：2024年3月24日 18時
