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私たちはしばし談笑しながらゆるやかに足を進める。やっと出口付近までこれたかと思うと端で慌てふためく男の子が目に入った。今日は朝からいかにも雨が降りそうな天気だったし、予報でも降水確率は百パーセントだったのに。傘、持ってきてないのかな。
「あの子、ずっとあそこにいるよね」
私の視線を辿るようにミナが彼を見て言う。斜めがけの大きなバッグ、いかにも染めたてというような明るい茶髪にクリッとした目が印象的。まだあどけなくて、少年っぽさが残っていて。可愛いな、絶対一年生なんだろうな。まだ傘に入れてくれる友達、いないんだろうな。
「ねえ、君」
この時の私は凄く不思議で、その子を見ていたら何だか放っておけなくて身体が引き寄せられるように歩いていた。本当に自分でもわからないけど、身体が勝手に。
彼は絶望するかのように空を見上げていて、私の声に気付かない。私は彼に駆け寄り、肩をトントンと叩く。
「ねえ。これあげる」
私が肩に触れると、彼は身体をビクッと震わせて控えめだった二重瞼がくっきりと見えるほど目を見開き、汚れのない黒目が私を捉えた。
まだ新しいビニール傘。家にはビニール傘があと二本ほどあって一本なくなったくらいじゃどうってことない。
「えっ、あ、」
狼狽える彼にそれを押し付けると、少し離れたところで傘を広げて私を待っていたミナの隣に飛び込む。少し強引だったかもしれない。そんな考えが浮かんだけれど、傘の中はやけに雨音が弾く音が響いていて、この雨じゃやっぱり正解だったかもと思った。二、三歩歩けば、その頃には傘をあげた彼のことはすっかり忘れていて、今日はジェヒョンも大学にいる日だから帰りはジェヒョンの傘に入れて貰えばいい、だなんて考えていた。
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nana(プロフ) - マーク派です🥲素敵な作品をありがとうございます！ (5月7日 2時) (
レス) @page37 id: 52c5480e12 (このIDを非表示/違反報告)
ruko(プロフ) - c128さん» とにかく丁寧に気持ちを表現してみようと書き始めた長い作品なのでそこを汲み取っていただけてとっても嬉しいです😭少しスランプ気味で更新が遅いですが必ず書きたいお話がシリーズ４にあるので頑張りたいと思います🙇🏻♀️ (5月6日 21時) (レス) id: 683ee61126 (このIDを非表示/違反報告)
ruko(プロフ) - 奈胡（元jen）さん» 想定ではシリーズ５まである予定です😂本当に、長い作品なのにここまでお付き合いいただけて嬉しいです🥲全ては色んなことに繋がっているので楽しみにお待ちいただければと思います！ (5月6日 21時) (レス) id: 683ee61126 (このIDを非表示/違反報告)
c128(プロフ) - 本当に言葉選び一つ一つが素敵で、主人公がジェヒョンを大事に思う気持ちが丁寧に痛いほど伝わってきます。ジェヒョン、主人公はあなたのことが大好きだからマクのこと心配しなくてもいいよと私たちみんなで伝えてあげたい！更新楽しみにしてます！ (5月4日 15時) (レス) id: d7b773ac82 (このIDを非表示/違反報告)
奈胡（元jen）(プロフ) - …シリーズ7くらいまでお願いしたいです……主人公ちゃんがこれからどうなるのか…まあすんなりはいかないよな…ああでも幸せに波風が立つのは困る…切なすぎるrukoさん！ (4月29日 8時) (レス) @page35 id: 8b083b7e19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ruko | 作成日時：2024年3月24日 18時
