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side JAEHYUN
天使のような人、というのに聞き馴染みがあるような気がして必死に思い出していた。いつだったかマークがそんなようなことを言っていたのだ。確かあれは加入歓迎会の時、ひどく酔っ払ったマークが脈絡のない支離滅裂な話をしていて、少し舌足らずなその姿が凄く可愛くて、今にも瞼が落ちそうで、目が離せなくて、それでその時。
「雨が降る日に天使のような人に傘を貰ったんです。白いシャツの裾がふわっと舞い上がって翼に見えた」
マークは確かにそう言っていた。天使のような人に傘を貰ったと。その時は気にも留めていなかった。別に傘を譲ってくれる人なんて決して多くはないけれど珍しいことでもないだろう。その時はそれよりも、マークがそのまま寝てしまわないかとそちらにばかり気を取られていて、ちゃんと話を聞いていなかった。
傘、天使のような人、片想い。
…………それって。
『…………ねえ、A』
「ん？」
『……前さ、持ってた傘あげたって言ってたよね？』
「傘？……………あぁ！ねぇ、あれマークだったの！」
『………っ』
「私も後から知ったんだけど、あれマークだったんだって」
点と点が繋がっていく感覚。
全身の血の気が引いて、嫌な汗がじんわりと滲む。
嫌な鼓動は速まるのにどこか他人事のようにその鼓動を聞いては、必死に目を逸らそうとしていた。
これは、きっと本能に似た何かなのだと思う。マークが本気でAを好きになってしまったら俺はきっと勝てない、という不安。
脳は危険だという信号を俺に送り続ける。赤信号がずっと点滅していて、踏切の音がけたたましくなるように頭の中で鳴り響いていた。
「ジェヒョン？」
俺の顔を覗き込むように見るAを見て、俺はこの手を手放せるのだろうかと考えた。まだマークが本当にAを好きなのかも確かめていないのに、Aの顔を見ると途端に自信がなくなった。
マークを見ればわかる。Aはマークのような人が好きだ。誠実で、人として成熟していて、愛に生きる人。愛を与えることができる人。清らかで、純粋無垢で、賢く、あたたかい。みんなマークを好きになる。
『………すきだよ』
「なあに、どうしたの？」
『すき』
「ふふっ、うん。私もすき」
Aの気持ちを確かめたくて咄嗟に出た言葉は、ひどく滑稽に思えた。焦燥感に苛まれる感覚。自分が自分じゃないようでとても怖かった。
そんな、初めての感情を味わった二十歳の春の夜。
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nana(プロフ) - マーク派です🥲素敵な作品をありがとうございます！ (5月7日 2時) (
レス) @page37 id: 52c5480e12 (このIDを非表示/違反報告)
ruko(プロフ) - c128さん» とにかく丁寧に気持ちを表現してみようと書き始めた長い作品なのでそこを汲み取っていただけてとっても嬉しいです😭少しスランプ気味で更新が遅いですが必ず書きたいお話がシリーズ４にあるので頑張りたいと思います🙇🏻♀️ (5月6日 21時) (レス) id: 683ee61126 (このIDを非表示/違反報告)
ruko(プロフ) - 奈胡（元jen）さん» 想定ではシリーズ５まである予定です😂本当に、長い作品なのにここまでお付き合いいただけて嬉しいです🥲全ては色んなことに繋がっているので楽しみにお待ちいただければと思います！ (5月6日 21時) (レス) id: 683ee61126 (このIDを非表示/違反報告)
c128(プロフ) - 本当に言葉選び一つ一つが素敵で、主人公がジェヒョンを大事に思う気持ちが丁寧に痛いほど伝わってきます。ジェヒョン、主人公はあなたのことが大好きだからマクのこと心配しなくてもいいよと私たちみんなで伝えてあげたい！更新楽しみにしてます！ (5月4日 15時) (レス) id: d7b773ac82 (このIDを非表示/違反報告)
奈胡（元jen）(プロフ) - …シリーズ7くらいまでお願いしたいです……主人公ちゃんがこれからどうなるのか…まあすんなりはいかないよな…ああでも幸せに波風が立つのは困る…切なすぎるrukoさん！ (4月29日 8時) (レス) @page35 id: 8b083b7e19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ruko | 作成日時：2024年3月24日 18時
