・ ページ16
自習室は私語が禁止だから駅前のファミレスに行って勉強しようとなるのはごく自然な流れだった。奥のソファー席へ案内されるとドリンクバーを人数分と山盛りポテトを頼み、それぞれ通路側に座っていたジスとジェノくんに飲み物を取りに行かせる。わざと二人きりにさせれば、二人は目に弧を描きながら頰を桜色に染めて会話をしており、私たちは満足気にそれを眺めていた。早く付き合えばいいのにねなんて言い合って、二人が戻ってくるのがわかると「そういえば」とロンジュンくんは話題を変えた。
「聞いた？ドンヒョクが付き合ったって」
「聞いてはいないけど知ってるよ」
そう答えるとなんだそれとロンジュンくんが笑う。だってドンヒョク、わかりやすいんだもん。最近は家に帰ってきても自室に籠るようになって、お風呂へ行くにもトイレに行くにも携帯を欠かさず持ち歩くようになったから。前は暇さえあればリビングに降りてきていたし、ところ構わず携帯を放り投げていたのに。
「それはわかりやすいな」
「可愛いとこあるでしょ」
私がそう言うとロンジュンくんは笑って頷く。すると戻ってきていたジェノくんが「その割には……」と横から口を挟んできたので私とロンジュンくんがそちらに視線を移すと彼ははっとして急に黙り込んだ。
「その割には、なんだよ」
「あ、いや……」
「そこまで言って黙るの無しだろ」
口籠るジェノくんはロンジュンくんの圧に観念したのか、「実は相談を受けていて……」と言い、自分のことを本当に好きかわからないってジウは言うんだよねと。
「友達の延長みたいだって」
「付き合ったばっかだからじゃない？」
「俺もそう言ったんだけどジウが納得しなくて」
「そっか……」
「………」
「……たぶん、初めての彼女だからよくわかってないんだと思う。大丈夫、きっと好きだよ」
そうだよねってジェノくんが微笑む。ジウにも言っておくよと言って。ジスは呼び捨てなんだって変なところに食いついていてそれを聞いたジェノくんは途端に慌てふためいていた。それから彼は「呼び捨てで呼んでいいの？」なんて遠慮がちに聞くので「呼んでほしい」とジスが言えばジェノくんは顔を真っ赤にして頷いていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1395人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ruko(プロフ) - きぬどさん» 他の作品も読んでいただいていたり、何回も読んでいただけているなんてこんなに嬉しいお言葉はないです、ありがとうございます😭またお心遣いいただき感謝いたします🥲きぬどさんもご自愛くださいませ🙇🏻♀️ (5月13日 20時) (
レス) id: 683ee61126 (このIDを非表示/違反報告)
きぬど(プロフ) - 書くお話のタイプも表現力もものすごく好きで何回も読ませていただいてます。(他の作品も読ませてもらっています！)2人の間の繊細な部分が綺麗に描かれていて本当に素敵です🥹お身体ご自愛ください、これからも応援しています💕 (5月9日 22時) (レス) id: 64123585f5 (このIDを非表示/違反報告)
ruko(プロフ) - momxさん» コメントありがとうございます。この二人の距離感をどう上手く伝えられるかなと考えながら書いているのでそう言っていただけて嬉しいです！報われます😭どうか最後までお付き合いいただけると幸いです🥲 (5月6日 17時) (レス) id: 683ee61126 (このIDを非表示/違反報告)
ruko(プロフ) - Kikiさん» 大天才の方だ！mellow見てます！まさかずっと見ていた方からコメントいただける日が来るとは思わず感激です😣またお心遣いまでいただき……ありがとうございます🥲私もKikiさんが紡がれる作品を本当に心より楽しみにしております♡ (5月6日 17時) (レス) id: 683ee61126 (このIDを非表示/違反報告)
momx(プロフ) - 簡単に近づけない2人の関係性だったり、何だか切なくなってしまうくらいのめり込んでしまうくらい素敵なお話で、更新を楽しみにしております🥹応援してます〜〜！！ (4月26日 21時) (レス) id: c2e5e8b6a0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ruko | 作成日時：2024年3月31日 22時
