・ ページ46
「Aは一人娘でね。私も妻も本当に大切に大切に育ててきたつもりだ。どこへ出しても恥ずかしくない子に育ってくれたと思っている。今、こうして私たちの手から離れても楽しく暮らせているのは君のおかげなんだろう。ジェヒョンくん、これからもよろしく頼むよ」
「私はジェヒョンくんがAを選んでくれてとっても嬉しいわ。もちろん、Aがジェヒョンくんのような素敵な人を選んでくれたのも嬉しい。この先、いろんなことがあると思うけれど、Aのこと、よろしくね」
食事を終えたあと、パパとママはジェヒョンにそう言った。二人の表情がとっても優しくて、私はこの目をどこかで見たことがある気がしたのだけど、それはジェヒョンと同じ目で。
『Aさんの愛情深さは、お義父さんとお義母さんが一番最初に多くの愛を注いでくださったからだと思います。僕はAさんの隣にいられてとても幸せです。これからもずっと、大切にします』
大好きな人たちが、ずっと優しい目で私を見ているから。私は目頭が熱くなって泣かないようにと必死だった。私は、この人たちの愛にずっと守られていたんだと。
それからパパとママはジェヒョンをすごく気に入って、私が小さい頃の写真を見せては色々な話をした。昔から人見知りでなかなか友達ができず幼稚園に行きたくないと泣いていたこと。小学生の時はおてんばで擦り傷ばかり作っていたこと。本が好きでよく図書館へ連れて行っていたこと。学芸会では不思議な国のアリスで花役を演じたこと。中高は部活ばかりしていたこと。ジェヒョンはそれをうんうんと聞いていて、楽しそうに写真を眺めていた。パパはジェヒョンが飲める口なのがすごく嬉しいようでいつの間にかボトルを二本開けていた。
「またすぐに来てね」
「次は私がワインを準備するよ」
『とても楽しかったです。ありがとうございました。またすぐに伺わせていただきます』
「じゃあね、また帰ってくるよ」
私は手を振って両親と別れた。駅までの道を手を繋いで歩く。通い慣れたこの道をジェヒョンと手を繋いで歩く日がくると思ってもいなかった。
「疲れたでしょ」
『ううん、本当に楽しかった。良いご両親だね。Aが産まれてくるのもわかる』
「えへへ、でしょ」
『俺たちも、ああなろうね』
ジェヒョンが何気無く言ったその一言は、落ち葉がチリチリと焼けるように心に熱く広がった。私はこの人にあと何回恋に落ちればいいのだろうか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 738人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ruko(プロフ) - 奈胡（元jen）さん» 前回もコメントいただいてましたよね、本当に嬉しいです😭お忙しい中ありがとうございます。意識している世界観を汲み取っていただき…♡嬉しいです✊🏻 (3月24日 18時) (
レス) id: 683ee61126 (このIDを非表示/違反報告)
ruko(プロフ) - おもちさん» そう言っていただけて嬉しいです😭😭お優しいお言葉ありがとうございます♡ (3月24日 18時) (レス) id: 683ee61126 (このIDを非表示/違反報告)
ruko(プロフ) - ナオさん» コメントいただきとっても嬉しいです。そう言っていただけると活力になります、ありがとうございます☺️ (3月24日 18時) (レス) @page50 id: 683ee61126 (このIDを非表示/違反報告)
奈胡（元jen）(プロフ) - こんな風に優しくて平和で穏やかなストーリー、癒されまくっています 普通の恋人同士なのにすごく素敵 続きも楽しみにしています (3月16日 2時) (レス) @page50 id: 8b083b7e19 (このIDを非表示/違反報告)
おもち(プロフ) - 1から更新されるたびにわくわく、どきどき、きゅんきゅんした気持ちで読ませてもらってます♡これからも楽しみにしてます！ (3月16日 0時) (レス) @page50 id: db91ee34e8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ruko | 作成日時：2024年1月29日 22時
