【d!】仮初の言葉でも (ページ13)

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2幕3場ページ13

あの後、姫を傷つけた犯人として私は劇場を追い出された

退団しろとは言われなかったからまだ団員ではある

､､､折角の自由な時間なんだし稽古しておくか

でもさすがにカルロッタ役は降板､､､だろうな

念の為の稽古はするけれど

すると急に携帯電話が鳴った

表示された名前は────グルッぺンさん

『､､､もしもし、花宮です』

グルッぺンさんは姫宮側なのか、と疑いながら恐る恐る電話に出る

すると彼は案の定と言うべきか否か、冷たい声を出した

「､､､見損なったよ花宮。カルロッタ役は降ろさんが、もう劇場に居場所はないと思え」

､､､やっぱりか

居場所がないのは我慢出来る

演技ができるなら環境がどうであろうと関係ないから

､､､にしても酷すぎる

そう思った私は思わず本心を零した

『､､､私の方こそ見損ないました。一応明日から稽古には出ます、さようなら』

電話の向こうでグルッぺンさんが戸惑う気配がしたが気にせずに切る

､､､言いたいことを言ったらスッキリしたが息苦しさは消えない

『､､､どうしてこうなるかな』

じわりと滲んだ視界をそのままにして私はベッドに寝転がった

愛されないのは昔からだがこうも嫌われたのは初めてだ

鬱さん達がいなかったらもう壊れていたかもしれない

『､､､絶対飲んでやる、舞台で倒してやる、姫宮』

悲哀は憎悪へと変わり憎悪は演技の活力となる

姫宮は大嫌いだが感謝もしなければいけないかもしれない

『────私の中の演劇魂に火をつけてくれてありがとう。』