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前回のあらすじ
やけに真剣な顔したショッピくんがAちゃんの手首をガシッと掴みました。
うらやましい!うらやましいけど女の子には優しくしような。
『っあの、久しぶりってどういうことですか』
わたしとショッピさんは会ったことがない、はず。
断言できないのは、わたしが長いあいだ生きているせいで記憶が曖昧なせい……
そして、先程わたし自身「ショッピ」という名前にある種の懐かしさや温かさを感じたからだ。
「ッなんで、俺ら小さい頃ずっと」
『すみません、わたしは覚えていないんです』
泣きそうな表情で訴えてくるショッピさんの言葉を遮り、貴方のことは覚えていない、とはっきり伝える。
……無慈悲だ、と言われるかもしれないが、むしろ「覚えているのでは」という無意味な期待を与える方が無慈悲だとわたしは思う。
だから、申し訳なさは募るけれど、はっきりと告げた。
「、ッ……うぁ……」
目の前のショッピさんは、今にも溢れ出しそうなほどの涙を美しい紫紺の瞳に溜めて、わたしに向けて訥々と語る。
「覚えて、ないんですか。ほんとに?約束、したでしょ。」
「───ほら、一緒に絵本覗きながら、“大人になったら、2人でこんな感じの家に住もうな?”……って」
「───“ずっといっしょにいよ”……って。言ったやないですか」
戸惑う。
ショッピさんの口から語られる、知らないはずの記憶。
どうしてか頭ががんがんと揺れ、嫌悪感と恐怖、そしてなにかの……温かい感情が、脳を支配していく。
なんだ、これ。
そうこうしている間にも、ショッピさんは喉を振り絞って声を上げる。
「────俺が!」
……ひときわ大声を出したショッピさんは、しばらく俯いて黙ってしまった。
しばらく後、彼はキッとわたしを見据えて、こう言った。
「……俺が、Aちゃんのこと好きって言ったこと。……それも、忘れてもうたんですか」
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まこち(プロフ) - 初コメ失礼します、続編!!楽しみにしてます!!!! (2022年1月17日 17時) (レス) @page50 id: 2e33e63444 (このIDを非表示/違反報告)
ユノ(プロフ) - シュネーさん» ひえぇありがとうございます……!!!頑張ります…( ´ω` )/ (2021年9月29日 23時) (レス) id: 822e5c31a6 (このIDを非表示/違反報告)
シュネー(プロフ) - ユノさんおめでとうございます!(*•̀ᴗ•́*)و ̑̑がんばれー (2021年9月29日 22時) (レス) @page35 id: ee9d47dabc (このIDを非表示/違反報告)
シュネー(プロフ) - 面白かったです!ありがとうございます!(?)ゆっくりでもいいので、楽しみに待ってます! (2021年9月28日 23時) (レス) @page27 id: ee9d47dabc (このIDを非表示/違反報告)
れたす(プロフ) - 好き……え、設定も文才も言葉選びも何もかもが好き…頑張ってください、応援してます…… (2021年9月28日 7時) (レス) id: 3705531e30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユノ | 作成日時:2021年9月24日 0時