17 ページ17
前回のあらすじ
ゾムさんに攫われる!攫われるよーーっ!まあ合意なのでセーフ(?)
『っはぁ…ん、ふーっ……ふーっ……ぁ』
顔を真っ赤にして肩で息をするわたし。
えっちなこと?
してません。
ただ単に────
「走るの楽しかってんな〜!なあA!」
この隣の男に無理やり何キロも走らされただけでっ!
万年引きこもり(前回の外出がいつだったかなんてもう覚えていない)のエルフにこれはキツイって……
「あ、着いたで、ようこそW国へ!」
息が切れるということを知らないらしいゾムさんが、楽しそうにそんな言葉を口にした。
……そうだ、結局わたしはどこに連れてこられたんだ?
W国……聞き覚えがない。
記憶が正しければ、わたしが幼かった頃にはそんな国は存在しなかったはずだ。
(……滅んだのかな、K国)
そう、わたしの幼少期にここら一体の土地を支配していたのは、K国だった。
確かかなりの暴君が支配していて、自分ら人間と違う種族を徹底的に排除しようとしていた、のだ。
……たくさんのエルフを、わたしの家族たちを殺したのもK国だ。
わたしは未だ、その時の総統を許していない。
まあ、K国の総統はゴミみたいな人間だったが、この土地がわたしの大切な故郷であることに変わりはない。
……K国が滅んだという事実は、少し、少しだけ、寂しい気持ちをわたしの胸に残していった。
もう、K国の面影は無いのかな。
あの頃大好きだったぴくと堂も店仕舞いしちゃったのかな────って、違うぞ?
たしかしょーくんがさっきわたしの家に来たとき、ぴくと堂のクッキーを持ってきていたはず……まさか!
『……わたしが森に住み着いて100年は経つのに、まだぴくと堂は残ってる?!』
思わず声に出してそうつぶやくと、隣にいたゾムが耳聰くそれを聞きつける。
「なんやA、ぴくと堂行きたいん?ええよ、後で連れてったる。」
『……!』
思わず柄にもなく顔を輝かせてしまう。
捕らえられたのかと思っていたが案外自由にさせてもらえるのかもしれない。
「でもまずは城行こうな。待ってる人がおるんや」
……少し怖いけど、ゾムさんが隣にいてくれるならいいかも。
あとでぴくと堂に行けることも分かったし、いっちょ楽しみますか……!!
──まあそんなこんなで結構わくわくしていたわたしは、まだ後ろの方でいじけているしょーくんに気づかない。
348人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まこち(プロフ) - 初コメ失礼します、続編!!楽しみにしてます!!!! (2022年1月17日 17時) (レス) @page50 id: 2e33e63444 (このIDを非表示/違反報告)
ユノ(プロフ) - シュネーさん» ひえぇありがとうございます……!!!頑張ります…( ´ω` )/ (2021年9月29日 23時) (レス) id: 822e5c31a6 (このIDを非表示/違反報告)
シュネー(プロフ) - ユノさんおめでとうございます!(*•̀ᴗ•́*)و ̑̑がんばれー (2021年9月29日 22時) (レス) @page35 id: ee9d47dabc (このIDを非表示/違反報告)
シュネー(プロフ) - 面白かったです!ありがとうございます!(?)ゆっくりでもいいので、楽しみに待ってます! (2021年9月28日 23時) (レス) @page27 id: ee9d47dabc (このIDを非表示/違反報告)
れたす(プロフ) - 好き……え、設定も文才も言葉選びも何もかもが好き…頑張ってください、応援してます…… (2021年9月28日 7時) (レス) id: 3705531e30 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユノ | 作成日時:2021年9月24日 0時