弐拾陸話. ページ27
*
どうしようどうしようどうしよう
雨の影響で奪われた体力諸々は通常の数倍はある。
うまく考えがまとまらない、このままじゃ ──⋯⋯
(死ぬッ……!!)
どんどん近づく地面は、それはもう硬そうだ。
こんなところに身体を打ち付けてしまえば、生きてなど帰れない。
『クソォォォォッ!!』
叫んだところで落下が止まってくれる訳でもなかった。
あ、死ぬんだって本当に覚悟した時、ふと、何故か空を見上げたくなった。
鬼を斬った時同様、僅かに雲が掛かってはいたものの目を見張るほどにそれは美しいものだった。
死ぬ前に、任務遂行できてこの空を眺められて、良かったなぁ。
(嗚呼⋯でも、せめて、会いたかったなァ⋯)
其れは誰に?蜜璃さま?煉獄さま?お館様?それとも──
おかえりって、『____』に抱きしめて欲しいなぁ⋯⋯
「諦メルナァ!!カー!!」
『うわっ、ころも!?』
突然、目の前に黒い翼を広げて登場したのはあたしの鎹鴉である『ころも』だった。
名前の由来は、揚げ物の衣を好んで食べるのでそう名付けた。
「オマエハ柱ダッ!!マダ死ヌナァ!!」
『ころも⋯』
鴉なのに人間のようにボロボロと涙を零して、落下するあたしに必死についてくる。
⋯⋯可愛い奴め。
そんなころもを見ていたら、働かなかった頭が突然と働き始め、ひとつの答えにたどり着く。
それは、技を繰り出して威力を吸収させるというもの。
(上手くできるか、分からないけれど⋯)
助かる方法はもうこれしかない。あたしが生み出した『天の呼吸』の中にある、たったひとつだけの⋯
誰かを傷つけるのではなく、言葉通り『守る』技!!
『ころも!!あたしから離れてッ!!』
⋯⋯やるっきゃないッ!!
『天の呼吸
この技は、冨岡さまが水の呼吸で使う『水車』を参考にして生み出した。
己を包むように刃を回し、雲のような柔らかい圧を作って衝撃から身を護る、唯一の型。
近づく地面に刃が当たってしまわぬよう、ギリギリで身体を捻り刀を振れば、技と地がぶつかり合った。
『う"ッ⋯!!』
咄嗟に行ったので、空気が変なところに入り込み、肺を少しばかり圧迫した。
しかしながら、多少痛みはあれど、目に映る満天の星空も、気持ちのいい夜風も⋯⋯あたしの上で鳴き叫ぶころもの声も。
『よ、良かったァ⋯⋯』
生きてないと味わえない代物だ。
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にこにこまるる - 面白いです!今後の展開が楽しみだな〜☺️ (12月3日 10時) (レス) @page30 id: aba63dfe7c (このIDを非表示/違反報告)
游 - 続きが気になっていたのに読むことが出来なくなってしまって残念です。。。 (5月12日 0時) (レス) id: 361e8a8309 (このIDを非表示/違反報告)
游 - こんばんは(*^^*) 夜分遅くにすみません。。。 全く関係ない所にコメントしてしまいすみませんm(._.)m 名探偵のかわいい妹ちゃん【名探偵コナン】は パスワード制になってしまったのですね(._.) (5月12日 0時) (レス) id: 361e8a8309 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なこ | 作成日時:2023年4月6日 23時