拾肆話. ページ15
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い、痛そう〜…なんて他人同士が倒れたから思えたものだ。
あまりの惨状に、思わず額を抑えて顔を引き攣らせた。けれど、蜜璃さまは「ぶっ」と吹き出してから「…すみません。」とか弱く声を発した。
ほかの柱の皆さまの中でも、笑いをこらえている方が目に入る。
しかし、2人の睨み合いは終結することはなく、今度は今にも殴ってかかりそうな程に、不死川さまは怒気をはらんでいた。
『いい加減に_____』
"いい加減にしてください!!"と、またも怒鳴りつけようかと声を出しかけた時、「お館様の、御成です。」と何処からか凛とした声が響いて、あたしはヒュッ、と息を変に吸い噎せた。
隣いた宇髄さまから、「派手に噎せたなァ」と小突かれたところで、「お館様」が、片手を引かれ、片手は隣の少女の肩を置き、こちらに歩みよってくるのが見えた。
そして、縁側に立てば、この方も相も変わらず、柔らかい物腰と声、けれど長としての威厳を保った雰囲気が、あたしたちの膝を地につかせ、頭を垂れさせて、制するのである。
この方のためであれば、一生を掛けてでもお役に立ちたい。
そう、願わずには居られないのだ。
「お早う、みんな。半年ぶりの柱合会議を、顔ぶれが変わることなく迎えれたこと。嬉しく思うよ。」
と、お館様は言った。
そして次に、「お館様におかれましても、ご壮健で何よりです。」と、今回は不死川さまが挨拶の権利をぶんどった。
あーあ、あたしもお館様に挨拶をしたかったなぁ…、さっきまであんなに暴れていらっしゃったのに。狡いったらありゃしない。
そして不死川さまは言うのだ。恐れ多いですが、この竈門炭治郎の説明をしてくれ、と。
それはなんとも丁寧な言葉遣いで空気に音を乗せて、この場にいる全員の耳に届いた。
ふと、竈門炭治郎くんに目をやれば、「え?知性も理性も無さそうだったのに凄く丁寧な言葉遣いで喋ってる?」と目を見開いている。
それ、絶対本人には言わないで。死んでも、死んだあとも言わないで。
「驚かせてしまってすまなかった。炭治郎と禰豆子のことは、私が容認していた。そして…」
___みんなにも認めて欲しいと思っている。
その言葉への反応は様々だった。
幾らお館様のお願いでも受け入れ難い、派手に反対、どちらでもいい。
蜜璃さまは「お館様の望むまま、従います。」と、言った。
……蜜璃さまがそれでいいなら、あたしもそれでいいかな、と思ったのは内緒にしておこう。
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にこにこまるる - 面白いです!今後の展開が楽しみだな〜☺️ (12月3日 10時) (レス) @page30 id: aba63dfe7c (このIDを非表示/違反報告)
游 - 続きが気になっていたのに読むことが出来なくなってしまって残念です。。。 (5月12日 0時) (レス) id: 361e8a8309 (このIDを非表示/違反報告)
游 - こんばんは(*^^*) 夜分遅くにすみません。。。 全く関係ない所にコメントしてしまいすみませんm(._.)m 名探偵のかわいい妹ちゃん【名探偵コナン】は パスワード制になってしまったのですね(._.) (5月12日 0時) (レス) id: 361e8a8309 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なこ | 作成日時:2023年4月6日 23時