拾弐話. ページ13
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それもそうだ。
家族の絆やら、なんやらに対する頓着があたしにはない。伊黒さまが「妄言」というのも簡単に頷ける。
その妄言とは、「今までも、これからも、…俺の妹は鬼になってしまったけれど、人を傷つけることはありません。」と震える声で放たれた其れの事だ。
鬼は、人とはかけ離れた異形の者であり、不確定要素を体現した様なものだ。
仮に、妹である鬼が本当にこの先人間を傷つけることも無く過ごせたとしても、それを証明できないのも事実。
なにより、「妄言」と言われたことを口にする彼は、きっと今正気では無いのだろう。
『…そもそも、身内ならば庇って当たり前なのでは無いでしょうか。』
「天乃霄の言う通りだ。言うことを全て信用はできない。」
家族愛や家族の絆に関心も無ければ、自分が持つことは無い、と言ったが、これだけは口にできた。
家族を鬼にされたものが、「此奴は違う!!!」と否定して、目の前で喰われた所を幾度となく見てきたからだ。
その度に、また躊躇った、と後悔に苛まれ枕をよく濡らしたものだ。
「あのぅ……疑問なんですけど、このこと、お館様が把握してないとは思えないです。勝手にこの子を処分してもいいんでしょうか…?」
我が師範、張り詰めた空気を破る度胸と、的確な考察に胸が打たれます。流石です、大好きです。
縛り付けられた彼の妹は人を食わない!信じてくれ!と、こちら側の処分したい又は野放しにしたくないので結局殺したい、というなんとも相容れない意見がぶつかり合い
話が永遠と同じところをぐるぐる回り、目が回りかけた。
……不甲斐ない。
そして、蜜璃さまの一声に、ほかの皆さまも、「それもそう。」と押し黙る。
が、空気を読まないのだろうか、この男の子は。
「俺の妹は!!!鬼殺隊で共に戦えます!!!人を、助けることが出来ます!!!」
いやいや、そういう事じゃないのだけれど。
え?話聞いてた?今蜜璃さまが、「お館様が来るまで待ちましょう?」と言いましたよね?
柱の皆さまも、それに同意の意を示していましたよね?辞めてくれます?火に油注ぐようなこと言うの。
……あー、ほら見てよ、このお馬鹿さん。来ちゃった来ちゃった、反応しちゃった。ウチで1番の荒くれ者と言っても過言では無い____
「何だか面白ぇ事になってるなァ?」
風柱さまこと、不死川さまが。
『……もう、しーらない。』
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にこにこまるる - 面白いです!今後の展開が楽しみだな〜☺️ (12月3日 10時) (レス) @page30 id: aba63dfe7c (このIDを非表示/違反報告)
游 - 続きが気になっていたのに読むことが出来なくなってしまって残念です。。。 (5月12日 0時) (レス) id: 361e8a8309 (このIDを非表示/違反報告)
游 - こんばんは(*^^*) 夜分遅くにすみません。。。 全く関係ない所にコメントしてしまいすみませんm(._.)m 名探偵のかわいい妹ちゃん【名探偵コナン】は パスワード制になってしまったのですね(._.) (5月12日 0時) (レス) id: 361e8a8309 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なこ | 作成日時:2023年4月6日 23時