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風磨side
風磨「しっかりしろ!」
咄嗟に駆け寄ると、頭から血を流して倒れこんでいる中島。
暗すぎてどれだけ血を流しているのかなんてことは計り知れなかったけど、意識はなく危険な状態だということは少なからず分かった。
夕方のワイドショーが頭の中に蘇ってくる。
おそらくその通り魔にやられてしまったのではないかと、何とも言えないもやもやとした不安が頭をよぎる。
体に触れると、中島の鼓動が手を通して胸に響きわたっていく。
早く救急者を呼ばなければと思うのに、手が震えてボタンを押せない。
健人「ふう...ま?」
細くやっとの思いで振り絞ったような声が、さらに俺の手を震えさせる。
(反則じゃん。。。)
よりにもよってこんな時に名前で呼ぶなんて...
でもそんな自分の弱い心には負けてはいけないんだと、そう思い力強く通話ボタンを押す。
腕の中の中島は再び意識を失い、がっくりとうなだれている。
3コールくらいだろうか、ガチャという音とともに『はい、火事ですか。救急ですか』という無機質な声が耳に届く。
風磨「きゅきゅきゅ救急です!」
柄にもなく緊張しまくっている俺。
いや、緊張ではなく焦りなんだろう。
このままこいつがいなくなったらどうしようって。
俺、一人はやだよ。
ずっと俺の隣で笑っててほしいよ。
彼がどんなことをしたっていうの?
何か悪いことした?
なんて神様は残酷なんだろう。
こんなの酷い、酷すぎる。
これが夢であったらいいのに......
いつの間にか電話は切れていて、何事もなかったかのように時間は過ぎていく。
俺は中島を救うことはできるのだろうか。
俺は、彼の笑顔がもう一度見れるなら、何でもする。
何でもするから、早く俺ら二人を救ってよ...
*
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ゆいっしー(プロフ) - パスワードを教えていただけますか? (2023年1月1日 21時) (レス) id: 8ef029cb40 (このIDを非表示/違反報告)
星 - パスワード教えてほしいです! (2021年11月3日 11時) (レス) @page20 id: 86d36c49a2 (このIDを非表示/違反報告)
楽々 - 続きが読みたいです! (2021年8月7日 13時) (レス) id: 86d36c49a2 (このIDを非表示/違反報告)
M - この作品のtwoのパスワード教えてください (2020年6月2日 18時) (レス) id: 8e4485d92c (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - sakiさん» ありがとうございます。できるだけ早く皆様にお届けできるよう精いっぱい頑張ります。 (2020年5月27日 21時) (レス) id: e1d054f011 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くるみ | 作成日時:2020年2月27日 17時