包装紙を解くように 2 ページ8
「……そ、の、ベビードール、を貰いました」
「……べびーどーる」
頬を赤らめたAが言った魔法みたいな単語を復唱してみる。ジュナと一緒にプレイしているゲームにもアイテム名が複雑な物があるが、Aが言ったそれは何なのか見当もつかない。
「って、何？」
「えっ、と……」
あと、何故Aが照れているのかも分からない。もじもじするだけで一向に話そうとはしないので、実際に物を見て見た方が早いか、とビニールの袋からガサゴソと取り出す。
「え、なにこれ」
両手で目の前に広げたそれを見て、先程と同じ言葉を発してしまった。
真っ白いワンピース……と言うか、ほぼ布は透けていて着ようが着まいが、ほぼ意味が無いんじゃないかと思える代物。
リボンだったり、レース、フリルが沢山付いていて、ぱっと見は可愛らしいのだが、透け感と布面積からして随分純情さとはかけ離れた物に見える。
「……ワンピース型の下着、かな」
「……ふーん」
これを送ってきた会社はセクハラで訴えてもいいのではと思った。
「これ、着るの？」
「えっ！んーん！着ない、と言うか着れない、かな」
まぁ、恥ずかしがり屋のAからは予想通りの返答が来る。
「じゃあ、どうするつもりだったの？」
紙袋の中を見れば、あと4、5着は入っていそうだ。
「んー、ジョンヨンとか、ジヒョに貰ってもらおうかなと思ってたの。頂き物をあげるは少し気が引けるけど」
「……トゥワイスさん所の？」
「そう。絶対に似合うし、可愛いと思うの。あわよくば着てる所を見せて欲しいなぁ」
Aの突拍子も無い発言に飲んでいたコーヒーで咽そうになる。
トゥワイスの人たちと仲が良いのは知ってはいるが、流石にそれはいかがなもんか。
「……それはセクハラじゃない？」
「あっ！！そっか、それはダメか……」
うーん残念と、少し親父臭い感じで残念がっているAに、疑問に思っている事を投げかける。
「てか、本当に着ないの？Aにってくれたもんでしょ」
そう言えば、ぴしりと身体を固めたA。
これをAに着せたい願望のある気色悪い会社の連中が居るのは面白く無いが、着ている所を見れるのが俺だけだと思えば少し気分は良いかもしれない。
うん、俄然見たい
「き、着ないよ、もう三十路のおばさんだし」
「何で？年齢とか関係無いでしょ。絶対に似合うと思うけど」
「で、でも……」
それでも渋るAに俺は最終手段に出る。
「ねぇ、これ着て見せてよ《ヌナ》？」
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作者名：NOAH | 作成日時：2024年3月13日 23時
