包装紙を解くように ページ7
「A、これ何?」
「ん?」
カムバに向けて毎日練習の日々。そんな中でもごく稀に早く帰れる日もあり、まさに今日がそうだ。
そんな日はAの美味しい手料理を食べて、お風呂にゆっくりと入り、時間があれば映画でも見ながら過ごすのがお決まりになっている。
映画を見る様にコーヒーを淹れてリビングで待つAの隣に腰掛けると、朝には見掛けなかった紙袋が部屋の隅に置いてあるのを見つけた。
自分は特に通販で買い物をした記憶も無いし、Aも頻繁に通販を利用する方では無い。それに通販なら紙袋ではなく段ボールで来るのが普通だろう。
得体の知れないパステルカラーの可愛らしい紙袋に、まるで警戒心を強め尻尾を太くする猫の様に手元に引き寄せる。
「あ、それね…あの、前に私が下着のモデルしてたの覚えてる?」
「…うん」
忘れる訳ない。
俺と付き合う前に受けていた仕事なので、今更あーだこーだ言いたくは無いが、本当ならAの下着の写真なんてこの世からデータごと消してしまいたいし、その写真を見た野郎の記憶を末梢したいしとも思っている。
まぁ、そんな事不可能な事とは分かりきっているので、《仕方なく》受け入れてはいるが、今後そんな仕事がAに来たら是非お断りさせて頂きたい。
てかミンギュみたいな奴が腹筋を披露するのは良いが、女性でわざわざそんな仕事をさせなくても良いだろ。事務所は何でAにそんな仕事させたんだ?脱がせる必要無いだろ。てか、そもそもそういう過激な仕事からアーティストを守るのが仕事であって……
「ウォヌくん?」
「ん?あ、ごめんごめん」
色んな事を考えていたら意識が遠くに行ってしまっていたらしく、Aに呼びかけられた。
「眉間の皺凄かったけど、大丈夫?」
「うん、大丈夫。それで、なんだっけ」
「うん、そこのね会社の方が新商品が出たからどうぞって送ってくれたの」
「……まさか、その商品のモデルしろって事じゃないよね?」
「あ、んーん!それは無いと思うよ」
……どうだか
噂によればそこの会社の社長はAの事を気に入ってるらしいし、うちのパンPDも割かし乗り気だと聞いた。
まぁ、なんにしろ、今後はこういう仕事を嫁にやらせるつもりは無い。
「で?何貰ったの」
「……」
聞けば顔を赤らめて口を噤んでしまった。言わないのであれば実物を見ればいいかと、紙袋に手を突っ込み物を引っ張り出す。
出てきたのは、ビニール袋に入った白い……
「え、なにこれ」
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作者名:NOAH | 作成日時:2024年3月13日 23時