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「あの…っ」

ピタ、と踏み出した足を止めて 風磨くんがこちらを振り向いた。


緊張して心臓が痛いし、

足だって震えてる。

伝える言葉だって 決まってない



怖い、怖くて顔を見れない、

それでも、それでもいい



「A…」

呟くように口にした自分の名前

YouTuber ゆず じゃない、本当の自分の名前。



「Aって、いいます」

今度は目を見て、聞こえるように口にした

その声は自分でもわかる程に震えていたけれど、そんなのはもうどうだっていい。


風磨くんは、私の突拍子もない発言に 少し驚いた顔して

何がおかしかったのか 手の甲を口に当て、今度は笑いを含んだ顔をした。


「ゆずちゃんって、本名かと思ってた」



少し細められた目元は心なしか楽しそうで


「YouTube始めるの、めっちゃ勇気いったでしょ。

俺に憧れて…って、そんな子が居てくれるのって すげぇ嬉しいの。

ありがとね」


「ありがとうなんて、そんな…」


「…いつか、

いつか、風磨くんに本当の名前を呼んでもらう日まで 頑張ろうって…

1ファンじゃない、自分を見てもらえるくらい有名になろうって思って…

それで…」



上手く言葉が出て来ない

所々詰まって聞き取りにくいはずなのに

風磨くんは 黙って私の言葉を待ってくれていた。


「…じゃあ、まだ呼ばない」


いたずらっ子みたいに笑って言う。


「そだなぁ…、

ゆずちゃんが〜もっと有名になって、

もっと大事なものが増えて、

周りに感謝することも増えて…

それが大事だ〜って思うようになったら、ちゃんと名前呼ぶよ」




「応援してる」





私と風磨くんの距離は、2メートルより近くなることは無かった。

漫画みたいに 頭を撫でられたり、思いもよらないところでキスされたり、そんなことは一切なくて


"応援してる" その言葉と共に 風磨くんが私に見せた優しさの滲む表情は

画面越しに何度も何度も見たものと同じ






それなのにこんなにも特別で、心臓が煩くて仕方がないんだ






「…絶対!絶対有名になりますっ

頑張りますっ!!」



歩き始めた背中に ありったけの気持ちを乗せて言葉を投げた。



少し振り向いて、

「頑張れ」なんて


そんなの 死ぬ気で頑張るしかないじゃん!!!






いつか名前を呼んでもらえる日まで

絶対諦めないって改めて心に誓った。

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設定タグ:菊池風磨 , ジャニーズ , SexyZone   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:そらはる | 作成日時:2019年1月21日 1時

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