【文スト】指名手配犯の情報屋

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「へぇ？私は変わっていないと？」




顔をぐっと近づける太宰さん。


きれいな顔だなぁ、と素直に思った。








「えぇ。私からしてみれば何も変わってないわ」









____嘘だね。
　







太宰さんは短くそういえと、私の右手に手を添える。









「私が変わってしまったことを"認めてしまう"ことで、"時間が流れている"ことを認めたくないのだろう？」
　








「________ッ」









「私はねェ、知っているのだよ。キミはあれから逃げられていないことに。」









頭によぎる今朝の夢。







手足が縛られて動けないでいること。









忘れたくて、手元に置かれた水を軽く飲み込む。









「三角関係の中の主要人物って言う者はこんなにも大変なことになってしまうだなんてねぇ」









「______ねぇ、A？」









耳元にかかる吐息に、思わず体が反応する。






自分が嫌になった。とても。









「私はまだ、君のことを諦めていないからね」









私もだ、私も彼からまだ______









「キミは、逃げられていないよ？全く、ね？」









ぐっと目をつぶった。









あぁ。自分がわからない。







私は何なのだろうか。






また彼に、踊らされてしまうのか。









頭がクラクラしてくる。




なんだか体が酔っているかのようだ。





「やっと効いてきたみたいだね。このクスリ」









怪しげに笑う太宰さんーーーー。









記憶がかすれていく。









「また私の手に戻ってきてくれ給えよ、A」








私は意識を手放してしまった。





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