31*.フィーバー・チャーム tnsha【2】 ページ45
tnside
朝食は何がいいだろうか、と厨房で考え込む。
やっぱり風邪といえば粥だけど…食欲がないと言っていたから微妙だ。
となると……林檎とか、その辺りだろうか？
ゼリー…？って、あったっけな……。
とりあえず、剥いた林檎と一応あったゼリーと水分補給のためのスポーツドリンク、それから水と薬を盆に乗せる。
一式を持ってシャオロンの部屋に戻った。
浅く荒い呼吸を繰り返すその姿は、何だか痛ましかった。
「……シャオさん、朝飯、持ってきたけど。林檎くらいなら食えるか？」
「ん……たぶん…。」
どうやらまだぼんやりしているようで、ぼうっと天井を見つめている。
「じゃあシャオさん、一旦身体起こせるか？」
「ん………。」
シャオロンは小さく頷くと、痛そうに頭を抱えながらも何とか起き上がった。
「じゃあはい、口開けや。」
そう言って一口大に切った林檎を差し出すと、シャオロンは不思議そうにぱち、と瞬きをして。
「……トントン、あーんしてくれるん…？」
「そらまぁ…な。だってシャオさん、動くのもしんどいやろ。」
するとシャオロンは少し目を伏せて、言葉を探すように押し黙った後小さく首を振った。
「……いや、でも、このくらい俺、自分で出来るから……ええよ…？」
「あほか。しんどい時くらい素直に甘えとったらええねん。ええからほら、な？」
もう一度、引かないとでも言うように口元に林檎を差し出すと、シャオロンは小さく口を開いて林檎を受け取った。
もぐ…もぐ…とゆっくり咀嚼して、そして…
「ん……ぅ゛…」
嚥下するときに、少し辛そうに顔を顰めた。
「どうしたん！？大丈夫か！？」
慌てて背中をさすると、シャオロンは手を喉元にやって。
「……痛い…。」
「あーそうかぁ……喉、痛めてるんやな…。ええよ、焦らんでええから、ゆっくり食べや。」
そうして、林檎を差し出して、嚥下してを繰り返して、何とか切ってきた分の4分の1くらいは食べ終えてくれた。
「じゃあ次は薬やな。」
と、薬を取り出す……けれど。
「……なんかこの薬粒がでかいな…。シャオさん、いけるか？」
錠剤のサイズが割と大きめで、さっき咀嚼した林檎で痛がっていたシャオロンには少し不安の残る大きさだった。
「……きつい、かも。」
「んーそうか……あ、じゃあこうしよか。」
もう何というか強行突破だけれどこの方法くらいしかない。
薬と水を自分の口に含んで、それから…。
31*.フィーバー・チャーム tnsha【3】→←31*.フィーバー・チャーム tnsha【1】
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 208人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るある。 - ラッピングしてお返しするところ、、、尊い‼️ (5月12日 1時) (
レス) @page37 id: daaa2cbdca (このIDを非表示/違反報告)
るある。 - 最高です(・・)ﾏｶﾞｵ (5月12日 1時) (レス) @page33 id: daaa2cbdca (このIDを非表示/違反報告)
レマ - ありがとうございます 尊いです (2023年4月16日 16時) (レス) @page34 id: a92f5b28bf (このIDを非表示/違反報告)
Labo(プロフ) - 電球ソーダさん» 返信、遅れてしまってすみません！尊いは最大の褒め言葉です…！ありがとうございます…！！ (2022年5月24日 5時) (レス) id: 34b51c2cbe (このIDを非表示/違反報告)
電球ソーダ - 尊い (2021年7月3日 3時) (レス) id: 9b3bfa43e1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Labo | 作成日時：2020年4月21日 10時
