Dress*1 ページ3
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｢翔太､今日このあとどっか遊びにいかね？｣
大学の講義が終わって､時刻は午後5時。
｢ごめん､今日は行くとこあるから｡｣
向こうはあと30分で定時。
｢もしかして例の彼女？｣
｢そうだよ悪いかよ｡｣
｢ラブラブで羨ましいねぇ｡｣
｢うっせ､茶化すな｡｣
｢また惚気話聞かせろよ｡｣
｢それもしねぇし｡｣
大学の友達に別れを告げて､急いで駅へと向かう。
俺の通ってる大学から会社まで電車で20分ぐらい。
予定の電車に乗り遅れたら間に合わない。
会社の前で待ってるっていうサプライズができなくなる。
｢やべ､急がなきゃ｡｣
会いたい気持ちが高まって､気付けば駅まで走っていた。
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・
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さっきからかわれたことなんて全く気にならない。
それぐらい､頭の中はAさんのことしか考えてない。
今はただ､1秒でも早く会いたい。
俺がこの日のために1週間も会うのを我慢したんだよって､早く伝えたい。
早く顔を見て､直接好きって言いたい。
そしたらまた笑ってくれるかな。
私も好きだよって言ってくれるかな。
Aさんとは4年前､俺が高校生の時に出会った。
初めてのバイト先にいた先輩だった。
5つ年上で､俺が高2の時Aさんは大学4年生。
だから一緒にバイトできたのはたったの1年だけ。
それでも俺はいつの間にかAさんのことを好きになっていた。
Aさんがバイトに来る最後の日､必死の思いで連絡先を聞いた｡
それから定期的に自分から連絡をして､何度か会ってもらった｡
告白は今まで4回振られて､5回目にしてやっと付き合ってもらえた。
その日は俺の20歳の誕生日だった。
告白した時､Aさんは呆れたように笑って､本当に私でいいの？って俺に聞いた。
5歳離れてることをAさんは気にしてるみたいだけど､俺にとってはそんなの気にならないのに｡
例えAさんが同い年でも､年下でも､好きになってたのに｡
俺はAさんだから好きになったんだよ。
付き合ってから､会えない時は電話したり､LINEでメッセージを送ったり､とにかく“好き”を伝えるようにしている。
その理由はAさんに不安になってほしくないからじゃない｡
俺がAさんに捨てられるのが怖いんだ。
好きじゃなくなったって言われるのが怖いんだよ。
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作者名：夏目 | 作成日時：2024年3月17日 21時
