Dress*13 ページ15
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｢はい､どうぞ｡｣
｢ありがとう｡｣
Aさんの家に入って椅子に座ると､寒いからって温かいお茶をくれた。
こういうさり気ない優しさにキュンとする。
また好きだなって思う。
｢私から話しても…いい？｣
｢…うん｡｣
話ってなんだろう？
家まで軽い気持ちでついてきたけど､まだ何も心構えができてない。
何を言われるのか分からない恐怖心で手が少し震える。
｢こんなこと面と向かって言ったことないからちょっと照れるんだけど…｣
｢……｡｣
面と向かって言わないことって何？
別れ話とか､俺は嫌だよ？
そんな話なら聞きたくないよ。
｢翔太くん｡｣
｢…はい｡｣
向かいに座るAさんと目が合う。
視線が交わるだけで､心拍数が上がるのが分かる。
ドキドキしていることがAさんに伝わっちゃうんじゃないかって不安になるぐらい。
こんな状況なのに､心臓がうるさい。
静かにしてほしいのに､全然制御できない。
｢私､翔太くんのことね､｣
真剣な眼差しで､じっと見つめられる。
まるで時が止まったみたい。
｢あ…｣
｢あ…？｣
｢あ………愛してるよ｡｣
｢……え､｣
Aさんの口から思ってもない言葉が聞こえて､思わず固まってしまう。
別れ話とかじゃなくてよかったって安心する気持ちと､初めて聞く言葉に戸惑う気持ち。
その2つで頭が混乱する。
｢私､好きとかそういう言葉伝えるの苦手でね｡今まで翔太くんにあんまり言ってなかったかな〜って思って｡｣
｢でも今､｣
俺の聞き間違いじゃなかったら､愛してるって言ってくれたでしょ？
｢前に言ってくれたでしょ？好きじゃなくて大好きだよって｡｣
｢うん｡｣
｢私は好きも大好きも通り越して､愛してるから｡翔太くのこと､私は愛してるの｡｣
｢俺も…Aさんのこと愛してるよ｡｣
｢ふふ､知ってる｡でも私の方が愛してるから｡愛の大きさは翔太くんに負けないよ？｣
そう言って勝ち誇った顔で何度もその言葉をを連呼する。
｢Aさん､もういい､それ以上言わないで｡｣
これ以上そんな甘い言葉を聞いたら､俺がおかしくなる。
｢なんで？私が気持ちを伝えなかったから翔太くんを不安にさせてたんでしょ？｣
｢そう…だけど､｣
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作者名：夏目 | 作成日時：2024年3月17日 21時
