Dress*12 ページ14
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俺の…ため？
俺のために､あの人と一緒にいたってこと？
それってどういうこと？
｢ほら､翔太くんもうすぐ誕生日でしょ？その時に渡すプレゼントのことで色々と相談に乗ってもらってたの｡｣
｢俺の誕生日…｣
｢中村さんには翔太くんと同い年の弟さんがいて､それで｡｣
Aさんの手元を見ると､何やらそれらしき紙袋を持っている。
｢前にマフラーあげた時すごく喜んでくれてたから､今年もあんなふうに喜んでもらえるものをあげたいなって､そう思ってたの｡でも私だけじゃいいもの選べなさそうだったから｡｣
誕生日の日までバレたくなかったのになって､悔しそうな顔をするAさん。
｢全部…俺の勘違い？｣
｢そうだよ｡でも勘違いさせちゃうようなことしちゃった私が悪いよね､ごめん｡｣
｢俺の方こそごめんなさい｡1人で勝手に早とちりして｡｣
｢ううん､誤解が解けてよかったよ｡｣
頭をポンポンって撫でてくれる。
こんな時でもAさんは優しい。
もっと俺のこと怒ってもいいのに。
｢俺…すげぇ失礼なことした｡中村さんって人に｡｣
｢あぁ…それは多分大丈夫｡｣
｢なんで？｣
｢中村さんは翔太くんが私の彼氏だって知ってるから｡｣
え？
｢それってどういう､｣
｢前に写真見せてね､話したことがあるの｡｣
Aさんによると､プレゼントの相談をした時に俺の写真を中村さんに見せたらしい。
｢俺のこと､他の人に話したりするんだ｡｣
｢するよ｡私があまりにも翔太くんの話をするから､顔が見てみたいって言われたんだもん｡｣
｢……｡｣
｢え､なんで黙るの？！もしかして嫌だった？｣
｢う､嬉しくて｡｣
｢…？｣
｢Aさんが他の人に俺の話してるのが嬉しかったんだ｡｣
俺の話なんて他の誰にもしてないと思ってたから。
きっと俺と付き合ってることも､付き合ってる相手が大学生だってことも､誰にも言ってないんだろうなと思ってたから。
さっきまで抱えていた不安が消えていく。
1人で勝手に勘違いしてた自分がバカみたいだ。
｢ねぇ翔太くん｡｣
手をそっと握られる。
俺の手はこんなに冷たいのに､Aさんの手はあったかい。
｢今から家来る？それで少し話そっか｡｣
｢うん…行く｡｣
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作者名：夏目 | 作成日時：2024年3月17日 21時
