Dress*9 ページ11
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｢これだけ店があれば悩むよな…｣
大学からの帰り道。
Aさんへのプレゼントを買うために､その途中にあるショッピングモールへ入る。
自分が想像していた以上の店の数。
普段はあまり1人でこういう場所には来ないから困惑するし､緊張もする。
この中から俺があげたいものを選ばなきゃいけないのか。
何がいいんだろう。
ここは無難にアクセサリー？
でもAさんがアクセサリーをしてるところって普段はあんまり見ないんだよな。
必要ないものをあげても喜んで貰えないだろうし。
じゃあ服？
俺の服のセンスが良いって褒めてくれてたし､喜んでくれるかも。
それに､自分が選んだ服を彼女が着てくれるっていうのもなんか嬉しい。
でももし俺が選んだものがAさんの好みじゃなかったら…
きっと無理して着てくれるんだろうけど､それは俺が嫌だ。
“翔太があげたいと思ったものをあげればいいんだよ｡”
照の言葉を思い返してみるけど､やっぱり難しい。
簡単には決められない。
こうやってプレゼントのことを考えていると､その流れで自然とAさんのことを考えてしまう。
プレゼントを渡した時の喜ぶ顔や笑った顔。
勝手に想像して､勝手ににやけている。
周りの人から見たら変なやつだと思われてるかもしれない。
気付けばまた頭の中はAさんこことばかり。
でも俺にとってはAさんのことを想っている時間が1番幸せで､会えない時はいつもこうして寂しさを紛らわせていた。
11月5日は俺の誕生日でもあり､Aさんと付き合って1年の記念日でもある。
だからこの日は俺にとって特別な日。
1年で1番大切な日。
｢私もそれいいと思ってたんですよ！｣
あれ､Aさんの声がする。
こんなところにいるはずがないのに､とうとう幻聴まで聞こえてきた。
相当Aさんのことが好きなんだな､俺。
前から自覚はしているけど､自分でも呆れてしまうほどにAさんが好きなんだ。
そう思って声がする方へと目を向けてみる。
｢え…｣
そこにいたのは､
｢Aさん…？｣
楽しそうに話しながら仲良く買い物をしている女性と男性。
それはAさんと､前に1度見たことがあるあの人だった。
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作者名：夏目 | 作成日時：2024年3月17日 21時
