Call*7 ページ9
＿＿＿＿＿
どれだけ終わってほしくないと願っても､1日は過ぎていってしまう。
気付けば今日はもう金曜日。
今日が終われば､しばらく村瀬さんとは帰れない。
誰かと一緒に帰ることに慣れてしまったせいか､今までは当たり前だった“1人”という状態に戻るのが怖くなった。
1人で過ごすことなんて平気だったはずなのに。
そう感じてしまうぐらいに､俺は村瀬さんという存在に依存しているのかもしれない。
村瀬さんの家に行ったあの日､緊張でガチガチになりながらも何とか無事に勉強会を終えることができた。
達成感で満ち溢れている村瀬さんとは違って､俺の心の中はずっと慌ただしかった。
その原因は明確で､単純に好きな人がすぐそばにいるからだ。
少し動いたら腕が触れるような距離に好きな人がいる。
たったそれだけで心臓の音が早くなっていく。
問題が難しくなればなるほど険しくなる表情も､理解出来た時の嬉しそうな表情も､全部ひとりじめしたくなるぐらいに愛おしかった。
好きだと自覚してからもどんどん“好き”が大きくなっていく。
この気持ちはきっととどまることを知らないんだろう。
いっそのこと好きだというこの気持ちが村瀬さんにバレてしまえばいいのに。
伝える勇気もない意気地無しな俺は､そんなことまで思ってしまっていた。
しばらくして外も暗くなった頃､帰る準備をしていると村瀬さんから思いもよらない提案をされた。
“目黒くんがよかったら､明日からもこうやって一緒に勉強しない？”
もちろん断ることなくその提案を受け入れた。
村瀬さんはずるい。
俺が言いたくても言えなかった言葉を何なりと口にしてしまうなんて。
一緒に勉強したいと思ってもらえているんだという嬉しさと､友達としか思われていないんじゃないかという悲しさで複雑な気持ちになる。
俺も一応男なのに平気で家に入れてくれるんだ､とか｡
家に入れてくれるってことはすごく信用されているんじゃないか､とか｡
考え出すとキリがない。
俺にとって村瀬さんは高校に入ってから初めてできた友達で､それだけでも十分特別なのに､今では初めてできた好きな人でもある。
俺は村瀬さんの中でどんな存在なんだろうか。
少しでも特別な存在になれてるといいのにな。
届きそうにもない願いを胸に並んで歩く金曜日の帰り道。
この道のりがずっと続けばいいのに。
＿＿＿＿＿
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 148人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夏目 | 作成日時：2024年2月8日 20時
