Call*5 ページ7
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この気持ちが恋なのかもしれない。
俺は村瀬さんが好きなのかもしれない。
そう思い始めてからというもの､暇さえあれば村瀬さんのことを考えるようになった。
気持ち悪いと思われるかもしれないけど､これは不可抗力だと思う。
だって､前を向いて自分の席に座っていれば自然と村瀬さんの後ろ姿が視界に入ってくるから。
｢ねぇ目黒くん､この問題分かる？｣
このままずっと席替えなんかしたくないな､なんて呑気なことを考えていたら､突然村瀬さんが後ろを向いて話しかけてきた。
普段は教室で話すことがあまりないからか､思わず驚いてしまう。
｢どの問題？｣
｢これなんだけど…｣
｢この答えはこれだよ｡｣
村瀬さんが聞いてきた問題の答えを教えると､口パクでありがとうと言って微笑んだ。
あぁ､やっぱり。
俺は村瀬さんのことが好きだ。
あの笑顔が自分にだけに向けられたらいいのになんて､そんなことを思ってしまうのだから。
・
・
・
｢今日はありがとう｡｣
｢何が？｣
｢数学の時､答え教えてくれたでしょ｡｣
｢あぁ､｣
｢あの先生怒るとめっちゃ怖いじゃん？
なのに今日に限って宿題やるの忘れてきちゃってさ｡順番的に私が当てられるの確実なのに｡｣
｢そういうことだったんだ｡｣
｢目黒くんのおかげで怒られずにすんだよ！｣
｢それはよかったです｡｣
｢私さ､数学めちゃくちゃ苦手なんだよね｡｣
｢勉強得意そうなのに､意外だね｡｣
｢なんか目黒くんは全科目得意そう｡｣
｢ふは､そんなことないよ｡｣
｢帰宅部のくせに赤点取ったらやばいよなぁ､｣
｢そっか､もうすぐテストだもんね｡｣
｢来週には1週間前だよ？早くない？私まだ4月の感覚なんだけど！｣
｢最近連休あったじゃん｡｣
｢まぁ…あったけど…さ？｣
｢ふふ､｣
｢あ､今絶対にこいつバカだなって思ったでしょ！そういう笑い方したもん！｣
｢してないよ｡｣
村瀬さんが顔を覗き込んで視線を合わせようとしてくるから､見られないように必死に顔を逸らした。
今､俺の顔はきっと赤くなってる。
そんなところを見られたら恥ずかしいし､好きだという気持ちがバレてしまうかもしれない｡
｢なんで顔逸らすの！｣
｢…恥ずかしいから｡｣
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作者名：夏目 | 作成日時：2024年2月8日 20時
