Call*2 ページ4
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まさか村瀬さんからそんな提案をされると思ってもなくて驚いたけど､断る理由もなかったから一言だけ“いいよ｡”と素っ気ない返事をした。
返事をしてすぐに､もっと愛想がある返しをすればよかったと後悔した。
誰かと話すことに慣れていないから仕方ない。
これが俺の精一杯だ。
｢ほんと？やった､嬉しい！｣
そんな俺の一言を聞くと､村瀬さんは今まで見たことがないぐらいに嬉しそうな表情をした。
俺と友達になることをこんなにも喜んでくれることが素直に嬉しくて､思わず頬が緩む。
｢じゃあ…改めて､今日からよろしくね｡｣
｢こちらこそ､よろしく｡｣
こうして俺に高校生になって初めての友達ができた。
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友達になったその日から､村瀬さんとは毎日一緒に帰るようになった。
プリント整理を続けながら話していると､お互いに帰宅部だということが分かって､それならこれからは一緒に帰ろうと村瀬さんから誘ってくれた。
いざ終わって途中まで一緒に帰ろうってなったら､まさかの帰るルートが同じ。
おまけに最寄りの駅は1つ隣。
今までお互いに気付かなかったことが奇跡なぐらいだった。
村瀬さんと仲良くしている黒咲さんはバレー部に所属していて､テスト前期間とテスト期間以外はずっと部活があるからほとんど一緒に帰れないらしい。
その理由もあって､村瀬さんは学年が変わってからずっと1人で帰っていたそうだ。
まさか自分が誰かと一緒に帰る日がくるとは､入学した頃は想像もしていなかった｡
村瀬さんと帰る時間はいつも楽しい。
俺が話し下手なせいで､ほとんど俺が村瀬さんの話を聞くことが多かった。
話しながらコロコロと表情を変える村瀬さんが何だかかわいくて､その様子を見ているだけで幸せな気持ちになった。
一方で､何を話したら村瀬さんが喜んでくれるか分からない俺は､話を振られた時ぐらいしかまともに話すことができなかった｡
こんなやつと一緒にいても面白くないんじゃないかって不安になることも多いけど､そんなことを聞く勇気なんかあるはずがない。
だからずっと聞けないままでいる。
もし聞くことができたら､俺と帰ってて楽しい？って聞けたら､村瀬さんは何て言うんだろう。
俺と同じ気持ちだったらいいのに。
そしたらこれからもずっと､一緒に帰れるから。
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作者名：夏目 | 作成日時：2024年2月8日 20時
