Call*9 ページ11
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｢ごめん､待った？｣
｢全然｡俺も今来たところだよ｡｣
｢ほんと？よかった｡｣
テスト前期間も今日で終わり､来週からはついにテストが始まる。
こうして駅で待ち合わせして帰るのにも､もう慣れてしまった。
村瀬さんがいつも自分に向かって駆け寄って来てくれる度に､まるでデートの待ち合わせをしているみたいに感じてドキドキする。
こんなことを村瀬さんに言ったら笑われるのかな。
それとも､村瀬さんも少しは俺と同じような気持ちになってたりするのかな。
村瀬さんを待っている間も､隣を歩いている時も､こうしてホームで電車を待っている今も､頭の中では村瀬さんのことばかり考えている。
自分が自分じゃないみたいで変な気分になる。
恋とはこんなにも人を簡単に変えてしまうのだろうか。
｢今日で勉強会も終わりだね｡｣
｢そうだね｡｣
｢来週からテストとか考えたくないよ…｣
｢大丈夫だよ｡村瀬さんすごく頑張ってたじゃん｡｣
｢そう…だよね｡私頑張ってたもんね｡｣
｢うん｡｣
｢目黒くんにそう言われたらなんか自信でてきたかも！｣
｢よかったよかった｡｣
｢目黒くんに教えて貰った成果をちゃんと発揮できるように頑張らなきゃ｡｣
｢うん､応援してる｡｣
｢テストが終わったらさ､何かお礼させてくれない？｣
｢お礼？｣
｢うん！私にできることなら何でもいいよ｡｣
｢何でも…｣
“じゃあ俺のこと好きになってよ｡”
思わずそんな言葉が頭に浮かんだけど､もちろん言えるはずがない。
｢目黒くん？｣
｢テストの最終日…どこか遊びに行かない？｣
｢そんなことでいいの？｣
｢うん｡｣
放課後に誰かと遊びに行くなんて初めてだし､俺にとって今はこうして誘うことが精一杯だ。
｢いいよ､行こう！｣
｢ありがとう｡｣
｢良い気分で遊びに行けるようにテスト頑張るね！｣
｢俺も頑張るよ｡｣
いつまでもずっと､こうして村瀬さんと仲良くしていたい。
何でもない会話をしながら一緒に帰りたい。
今のこの関係を壊したくない。
でも､初めて知った“好き”という気持ちを伝えたい。
俺にとっての初めての恋を大切にしたい。
テストが終わったら､この気持ちを全部伝えよう。
例え今のこの関係が終わってしまうとしても。
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作者名：夏目 | 作成日時：2024年2月8日 20時
