キセキという名の命

story3 ページ3

隆二side


あれから、臣の咳は治ってない。


仕事中もよく影のほうで咳してる。


本人は隠してるつもりかもしれないけど


苦しそうなその咳はよく聞こえる。


そして、臣の咳と同時に治ってないのが


ｺﾞﾎｯ ｹﾞﾎｯ ﾋｭｰ ﾋｭｯ


寝てるときに聞こえるこの音。


よく聞いてみれば咳だけじゃなくて喘息も？


そんな予感がした。


夜、仮眠室に咳とかが聞こえてくるっていったら


臣しか考えられない。


だって仮眠室と臣のいるナースステーションは


一番ちかいから。


明日、臣に聞いてみよう。


そう思ってまた眠りについた。






隆「臣、おはよう！」


臣「おはよう。」


あれっ、咳出てない。


隆「風邪治ったの？」


臣「そうみたい。ごめんね？心配かけて。」


隆「治ってよかったな。」


臣「うん。」


隆「今日も頑張ろうな？」


臣「ん。」


朝、臣に会うと咳が止まってた。


でもなんとなく元気がないような。


それからずっと、臣のことが気がかりだった。






隆「ふぅ〜。」


仕事が終わって、ボーッとしてると奥の方に


人影が見えた。


その人は咳もしてた。


夜聞こえてた音と似ていた。


ｺﾞﾎｯ ｺﾞﾎｯ ﾋｭｰ ﾊｧ ﾊｧ ﾋｭｯ


もしかして、臣？


隆「あの、大丈夫ですか？えっ！臣？」


臣「ｺﾞﾎｯ ﾋｭｰ ｺﾞﾎｯ ｺﾞﾎｯ ﾊｧ」


そこには吸入器を口に当てて片手に薬を持ってる


臣がいた。


臣「ﾊｧ ﾊｧ だいっ ﾊｧ じょうぶ ｺﾞﾎｯ だからっ」


暫くすると落ち着いてきた臣。


臣「ごめんね。こんなとこ見せちゃって。」


隆「それより、大丈夫なのかよ。」


臣「うん。俺さ、昔喘息だったから。もう治った
と思ってたんだけど、最近また発作とか少し
出だして。って言っても軽い発作だけどね。
夜になったら苦しくなっちゃって、こうやっ
て隠れて吸入して落ち着かせてたんだ。」


隆「そうだったん。ごめんな。気付かんくて。
俺、夜も聞こえてたのに。本当にごめん。
でも大丈夫？入院とかしないで。」


臣「大丈夫だよ。薬と吸入器さえあれば。この時
期だけだから。冬になるとダメなんだ。でも
他の時は本当に大丈夫だから。」


隆「そっか。でも言ってな？本当に辛いときは」


臣「おぅ。その時はよろしくな。」







臣、本当に辛いときは頼れよ？






.............


らんさんのrequestでした！

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