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in side
「お疲れっ!じゃ!」
「え?ちゃんどっか行くの?」
「うん、ちょっと帰り行きたいとこあるの!」
珍しく早く帰る俺に、光以外は怪訝な顔をして見送ってくれた。
光はニヤニヤ笑ってたから後でぶっ飛ばそうと思う。
もう夕方6時だけどあの花屋さんまだ開いてるかな。
そんなことを思いながら花屋へ向かう途中、昨日の光の一言がドヤ顔と共に頭の中をぐるぐる回ってる。
「いのちゃん、それ恋だね」
そうか、恋か。
職業柄、あまり関わりのなかったその言葉は案外あっさりと俺の感情に当てはまった。
ライブ終わりだしそこそこ疲れも残ってるものの、あの子の顔が浮かんだ途端全部吹っ飛んで心なしか足取りが軽くなる。
その勢いで鼻歌も歌いそうになったけど、ファンの子に会っちゃったらプライベートの伊野尾慧はヤバイ奴だと思われそうなのでなんとか踏みとどまった。
そしてようやく着いた花屋はまだ開いていた。
なんとなく入れば、あの日に出会ったあの子もいる。
そしてなんと、俺を出迎えてくれたのは紛れもなくその子本人で。
「いらっしゃいませ!
本日はどのようなお花をお探しでしょうか?」
にこにこ笑いながら対応する彼にちょっと面食らう。
しまった、そんなのなんにも考えずに来てしまった。
なかなか返事をしない俺に、彼は不思議そうな顔をして俺を見つめる。
「どうされました...?」
「あ、いや、えっとっ...えっと、その...花束、作ってください...」
「んふふっ、ありがとうございます!
誕生日プレゼント用ですか?クリスマスプレゼントですか?」
「あー...いや、そういうのじゃなくて...
あ!えっと、友達が明日結婚するから!
だからその、そのプレゼント用に...!」
全部嘘だけど。
誰も結婚しないし、そもそも俺友達いないし。
だけど彼は真に受けたらしく、嬉しそうに奥へ案内してくれた。
「えっと、お花の指定はありますか?」
「いや、花とかあんまり分からなくて...店員さんにお任せします」
「...っえ、え、いいんですか...っ!?」
なんて言いつつ彼は楽しそうに花を選び始めた。
にこにこ笑ったり驚いたりとくるくる変わる表情は見てて飽きない。
大ちゃんみたいだな、って思うけど大ちゃんの何倍も可愛い。大ちゃんには失礼だけど。
そしてしばらくしてから彼が完成させた花束は、適当に嘘ついたのが申し訳なくなるほど綺麗だった。
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苺にゃん´`*(プロフ) - わたなべさん» 大丈夫ですよ! 無理せず、頑張ってください☆ 楽しみにしてます! (2018年2月19日 22時) (レス) id: 9828435108 (このIDを非表示/違反報告)
わたなべ(プロフ) - 苺にゃん´`*さん» ありがとうございます...!更新が死ぬほど遅いですが今後もよろしくお願いします(>_<) (2018年2月19日 22時) (レス) id: 5f3fb5e8f0 (このIDを非表示/違反報告)
苺にゃん´`*(プロフ) - とても素敵なお話です。あと面白いです! いのけと好きなので、読んでて幸せな気持ちになってます! (2018年2月19日 17時) (レス) id: 9828435108 (このIDを非表示/違反報告)
わたなべ(プロフ) - らなさん» わー!ありがとうございます(>_<)! (2018年2月13日 10時) (レス) id: 5f3fb5e8f0 (このIDを非表示/違反報告)
らな - ツイッター出てきました!ありがとうございま!m(__)m後フォームもさせていただきました! (2018年2月13日 3時) (レス) id: fc6c88d13e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わたなべ | 作成日時:2018年2月8日 3時