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「マジで焦るわ!はよ言え!」
「だ、だってぇ...」
結局撮影に集中できなかったのは言うまでもない。
だって圭人がキラッキラした目で撮影見てるんだもん、集中できるわけない。
それでもなんとか撮影を終え、このあとはみんな何もないからそのままバラバラで帰っていく。
俺はもちろん圭人と帰る。
「俺卒業式で就職先聞いたときさ、顔曇らせたから就職浪人したのかと思ったんだからね」
「ほ、ほんとにごめん...」
「ま、黙ってた理由わかったしいいけど?」
恋人がマネージャーだなんてまるで夢みたいだ。
どう考えてもありえないのになぜ採用されたのか聞いたら、そもそもは圭人が望んだのではなくスカウトだったとのこと。
で、断るつもりだったのにうまく乗せられてここまで来てしまった、ということらしい。
「でも撮影ってあんなのなんだねー...やっぱりほんとのやつとドラマとは違うね」
「ドラマは分かりやすく誇張してるからね。
あんな綺麗な世界じゃないよ」
この世界は一見華やかで煌びやかだけど、裏はそうでもない。
それどころか目も当てられないようなこともある。
何も知らない純粋な圭人が、これからそんな部分を知っていくかと思うと悪いことしたな、と思う。
別に俺がこの世界に誘ったわけじゃないけど。
「撮影のときのいのちゃんかっこよかったね」
「もういいって...マジで恥ずかしい」
「なんでー?どうせ雑誌出たら見るじゃん」
「そうだけどさぁ...」
なんて会話してたら、タクシーは自宅へ到着した。
財布を出そうとする圭人を左手で制して、タクシー代は俺が払う。
圭人の前でくらいかっこいい俺でいたいじゃん?
家に入ればようやく気を使わなくて済む。
そこでひとつ、大事なことを思い出した。
「けいと、誕生日おめでとう。
ここ最近ずっと忙しくて何にも準備できてなくてごめんね?」
「...え、お、覚えててくれたの...?」
「当たり前じゃん。
でもマジで何もないんだよねー...この時間じゃコンビニくらいしか開いてないし」
「そんなそんな!!
別にいいよ、気持ちだけで嬉しいよ...!」
そう言われても、俺が微妙に納得出来ない。
圭人はそう言ってるけど、絶対どこか寂しさがあるはず。
...あ、そうか。渡せるものあるじゃん。
「ねぇ、誕生日プレゼントは俺の苗字、でどう?」
「...いい、よ」
End. ♡
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苺にゃん´`*(プロフ) - わたなべさん» 大丈夫ですよ! 無理せず、頑張ってください☆ 楽しみにしてます! (2018年2月19日 22時) (レス) id: 9828435108 (このIDを非表示/違反報告)
わたなべ(プロフ) - 苺にゃん´`*さん» ありがとうございます...!更新が死ぬほど遅いですが今後もよろしくお願いします(>_<) (2018年2月19日 22時) (レス) id: 5f3fb5e8f0 (このIDを非表示/違反報告)
苺にゃん´`*(プロフ) - とても素敵なお話です。あと面白いです! いのけと好きなので、読んでて幸せな気持ちになってます! (2018年2月19日 17時) (レス) id: 9828435108 (このIDを非表示/違反報告)
わたなべ(プロフ) - らなさん» わー!ありがとうございます(>_<)! (2018年2月13日 10時) (レス) id: 5f3fb5e8f0 (このIDを非表示/違反報告)
らな - ツイッター出てきました!ありがとうございま!m(__)m後フォームもさせていただきました! (2018年2月13日 3時) (レス) id: fc6c88d13e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わたなべ | 作成日時:2018年2月8日 3時