All my love for you. 《 in×kt 》

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kt side





｢...さすがだねぇ。
俺のこと、よく分かってる｣




一瞬ピリっとした空気は、そんな場には似合わないゆったりしたいのちゃんの声によって消えていった。




｢けいとくんならそう言うと思った｣


｢じゃあなんで、｣


｢まあ、1つの方法として。
他にも方法はあるけど、1番手っ取り早く済ませるにはこれかなって｣


｢他、って...？｣


｢...ここじゃ言えない、うち来て。
って言いたいけど今はちょっと厳しいから...
けいとくんの家、行っていい？｣




もちろん返事はイエス。

断る理由なんて何もない。

強いて言えば、こうなるなら片付けとけばよかったなってくらい。

家に帰るまでの間でもいろいろ不安になるけど、いのちゃんはいつもとあまり変わらない。

テレビで見るままの飄々とした様子で俺の隣を歩いてる。

そして家に着いて、お世辞にも綺麗とは言えないリビングへ通して紅茶を用意する。




｢うっまぁ！何これ！？｣


｢ラプサンスーチョンってやつで、原産は中国の福建省ってところなの。
ちょっと松のスモーキーな匂いがするのが俺は好きなんだけど...大丈夫？
ダメならミルク入れてミルクティーにするのもおいしいよ｣




大まかな説明をしていのちゃんを見たら、なぜかぽかんとして固まってる。




｢...な、なに、｣


｢ほんとに紅茶好きなんだね。
そんな流暢に話してるの初めてでびっくりしてる｣


｢え、なんかごめん...？｣


｢いや、謝んなくていーよ？
で、なんていう紅茶だっけ？｣


｢ラプサンスーチョン、ってやつだよ｣


｢そうそれ！ラプ...なんちゃらって初めて聞いたし初めて飲んだけどおいしいなー！
このままでもおいしいけどミルクも入れてみたーい｣


｢うん、分かった。ちょっと待ってね｣




そう言ってミルクを取りに行ったときにおかしいことに気づく。

家でのデートみたいで嬉しいのはやまやまだけど、こんな話するためにうちに来たんじゃない。

ひとまずミルクを渡して満足してもらったところで、ようやく本題を切り出した。




｢...ねぇ、これからどうするの？｣


｢そうだねぇ、｣




その後もまだ続くのかと思ったら、いのちゃんはそこで言葉を止めてしまった。

じーっとカップを見つめて固まってる。

何か続きがあると思った俺も黙ってるから、部屋には微妙な空気が流れてしまう。

そんな中、ふいにいのちゃんが口を開いた。




｢...けいとくんは、どうしたい？｣





...


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