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...
in side
「ねえ、ひとついい?」
「へっ?」
「あのね、敬語はやめてほしいな」
「はい...っあぇ!?」
先程の店員さん(彼が言うには「やまちゃん」くん)に案内された彼の「いつものとこ」は、カフェの中でも割と端の方で、他の席があまり見えない代わりに窓の外の景色が綺麗。
少し狭い部屋で、彼とふたりきり。
みたいだな、なんて。
そしてオーダーを終えて彼にひとつ提案をすると、漫画でも見たことないような驚き方する彼に思わず吹き出してしまった。
「そんな驚かれるようなこと言ったつもりはないんだけど」
「だってそんな、俺なんかが...っ、」
「俺がいいって言ってるんだからいいの」
「でも、」
「でもじゃなくて。
君とは『アイドルとファン』じゃなくて対等でいたいの」
あわよくば、は言わなかった。
だからあえて「対等」という曖昧な言葉でごまかした。
「だめ、かな?」
「...い、いんですか...っじゃなくて、
えっと、その...いい、の...?」
「...ふふ、全然いいよ。でも変な感じ」
「え!?だったら、」
「別に今すぐじゃなくていいよ。
少しずつでいいから慣れていってほしいな」
「...へへ、がんばります」
もしかして、というかもしかしなくても、ちゃんと話すようになってから彼の笑顔を見たのは初めてかもしれない。
会うたび彼はどこか緊張しているような感じがあったから、こんな自然な笑顔を見るのはなぜか新鮮だった。
ぼんやりそんなこと考えながら窓の外を見てたら、不意に彼が何かを呟いてゆっくり振り返った。
「...あの、俺からもひとついいですか?」
「んぇっ?うん、いいよ」
「すっごいつまんないけど...
名前で呼んでほしいで...っあ、呼んでっ、?」
あっ、無理だ。
名前で呼ぶことじゃなくて、彼の可愛さが無理だ。
頑張ってタメで話そうとしてる感じがなんかもうすごいやばい可愛い好き!!
おまけに彼がなぜか縮こまっちゃってるから、少し上目遣いみたいになってるのがまた可愛い。
心の中で鼻血を出して悶えつつ、それを表に出さないように余裕そうな返事をする。
「名前なんていくらでも呼んであげる、『けいとくん』」
「な、えっ、名前、なんで...!?」
「...いや、LI○Eの名前がそうだからそうなのかなって」
「あ、そっか」
はっ!って顔をしてえへへって彼ははにかんだ。
...だめだ、今日の俺心臓いくつあっても足りないかも。
...
...
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苺にゃん´`*(プロフ) - わたなべさん» 大丈夫ですよ! 無理せず、頑張ってください☆ 楽しみにしてます! (2018年2月19日 22時) (レス) id: 9828435108 (このIDを非表示/違反報告)
わたなべ(プロフ) - 苺にゃん´`*さん» ありがとうございます...!更新が死ぬほど遅いですが今後もよろしくお願いします(>_<) (2018年2月19日 22時) (レス) id: 5f3fb5e8f0 (このIDを非表示/違反報告)
苺にゃん´`*(プロフ) - とても素敵なお話です。あと面白いです! いのけと好きなので、読んでて幸せな気持ちになってます! (2018年2月19日 17時) (レス) id: 9828435108 (このIDを非表示/違反報告)
わたなべ(プロフ) - らなさん» わー!ありがとうございます(>_<)! (2018年2月13日 10時) (レス) id: 5f3fb5e8f0 (このIDを非表示/違反報告)
らな - ツイッター出てきました!ありがとうございま!m(__)m後フォームもさせていただきました! (2018年2月13日 3時) (レス) id: fc6c88d13e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わたなべ | 作成日時:2018年2月8日 3時