17 ページ17
...
kt side
それから数日後、大晦日。
結局あれから伊野尾さんと連絡をとることはなかった。
だから一連のことはすべて夢だと思い込むことにした。
伊野尾さんがバイト先に来ることもなくて、ここ数日は実に落ち着いていられた。
そして俺は今、東京ドームにいる。
「うっはぁ、カウコンは初めてだぁ...」
「へー、東京ドームって意外とでかいのなー」
「...僕いる?」
「ごめん...他に友達がいなくて...」
俺、裕翔、山ちゃん、知念という何とも不思議なメンツと共に。
裕翔たちと知念は一応面識はあるものの、まだそこまで仲が良いというわけでもないので知念はずっと俺の後ろにくっついてる。
まずなんで東京ドームにいるのかというと、もちろんBESTのコンサートなわけで。
ぶっちゃけ伊野尾さんの連絡先は一応知ってるわけだし、その気になればチケットだって取れないことはない。
だけどそんなズルして会いたくなくて、どうせ会うなら自分で取りたかった。
...まあ結局自分の名義はダメで、裕翔が当ててくれたおかげでここにいるんだけど。
また伊野尾さんに会えると思うと楽しみでしかない。
それがたとえ、花屋みたいに近い距離じゃなくても。
先週の横浜アリーナよりさらに遠くなったけどそれでもいい。
「...いと、けいと!」
「へっ?」
「もう開場の時間だよ。そろそろ行くよ〜」
「わかった!」
裕翔ののんびりした声を聞いたらちょっとリラックスして、緊張がほぐれた気がした。
そして4人揃って会場に入り、スマホのQRコードをかざして裕翔がチケットを受け取った瞬間だった。
目の前から裕翔が消えた。
正確に言うと、裕翔が崩れ落ちた。
慌てて裕翔を支える山ちゃんの姿に、そういえばこのふたり付き合ってたっけ、なんて場違いなことが頭に浮かぶ。
「あ、アリーナ...」
コンサートはまだ始まってもないのに既にフラフラになってる裕翔はそう呟いた。
それに思わず耳を疑う。
だけどそれは本当だって裕翔の顔が物語ってる。
その場で固まる俺と裕翔に、山ちゃんと知念は不思議そうな顔をしてる。
そうか、このふたりはライブ初めてなんだっけ。
「え、なに、アリーナ?ってそんなにすごいの?」
「すごいよすごいよすごいんだよ!?
もうすっごい近いからありえないくらいの倍率なんだよ!?
それが当たるなんて...!」
「...こんな必死なけいと初めて見た」
...
...
165人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
苺にゃん´`*(プロフ) - わたなべさん» 大丈夫ですよ! 無理せず、頑張ってください☆ 楽しみにしてます! (2018年2月19日 22時) (レス) id: 9828435108 (このIDを非表示/違反報告)
わたなべ(プロフ) - 苺にゃん´`*さん» ありがとうございます...!更新が死ぬほど遅いですが今後もよろしくお願いします(>_<) (2018年2月19日 22時) (レス) id: 5f3fb5e8f0 (このIDを非表示/違反報告)
苺にゃん´`*(プロフ) - とても素敵なお話です。あと面白いです! いのけと好きなので、読んでて幸せな気持ちになってます! (2018年2月19日 17時) (レス) id: 9828435108 (このIDを非表示/違反報告)
わたなべ(プロフ) - らなさん» わー!ありがとうございます(>_<)! (2018年2月13日 10時) (レス) id: 5f3fb5e8f0 (このIDを非表示/違反報告)
らな - ツイッター出てきました!ありがとうございま!m(__)m後フォームもさせていただきました! (2018年2月13日 3時) (レス) id: fc6c88d13e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:わたなべ | 作成日時:2018年2月8日 3時