All my love for you. 《 in×kt 》

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kt side





｢あああどうしよう...！緊張しすぎて手汗やばいよ...！｣


｢ちょっとけいとうるさい静かにして｣




裕翔の冷たい一言に撃沈...しない。してられない。

だって今日やっと会えるんだもん...！

待ちに待ったこの日、横浜アリーナで。

やっと会えるんだ...と会場に入った今でも嘘みたい。

え？誰に会うのって？

それは今人気急上昇中の5人組アイドル、Hey! Say! BEST。

メンバーはちょっとお子ちゃまっぽい有岡大貴くん、このグループのセクシー担当高木雄也くん、しっかり者のリーダー格薮宏太くん、グループのお母さん的存在八乙女光くん、そして...！




｢はぁぁ...うちわ見てるだけでも幸せなのに今から本物見れるなんて...｣


｢けいとほんと好きだね伊野尾くん｣


｢だって...！｣




俺がいちばん大好きな伊野尾慧くん。

だって普段はテキトーでよくわかんないことばっか言ってるのに、ふとしたときに見せる真剣な表情とか地頭の良さを伺わせる発言とか...

とにかくもう語り始めたら止まらない。

それくらい好き。

好きと言っても、恋愛というより憧れという感じ。

ちなみに裕翔は薮くんと光くん、通称やぶひかが好きらしい。




｢ねえねえ裕翔、今日いのちゃん見てくれると思う...？｣


｢さぁ...気分によるんじゃない？｣


｢ですよねー...｣




楽しい気持ち半分、複雑な気持ち半分。

いのちゃんはあまりファンサをしないことで有名。

おまけに俺男だし？周り可愛い女の子ばっかりだし？

絶対そっちにファンサしちゃうだろうなぁって思うとちょっと複雑。

しかも今日の席ちょっと遠めだし。

裕翔の身長で目立たないかな〜、なんて密かに思ってるのは裕翔には黙っておこう。




｢あ、もう10分前だ、スマホの電源切らなきゃ｣


｢うそ！？もうそんな時間！？
まだ心の準備できてないよ〜...！｣


｢出てきた瞬間泣くとかやめてよね｣


｢わ、わかんない...泣いたらごめん...｣


｢ま、なんでもいいけど！
とにかく楽しもう！｣


｢うん！｣





それから7分。

急に会場中のモニター画面が砂時計の映像に切り替わる。

それだけで会場は既に黄色い歓声で溢れる。

もちろん俺と裕翔も含めて。

そして映像の砂時計の砂が落ち切った瞬間、大きな音とともに出てきたBEST5人。

いのちゃん見てくれるかな、なんてちょっとした不安なんかこの時点で既に頭の中から消えていた。





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