【2j3j】不法侵入者は吸血鬼らしい【kzh】

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混乱する葛葉さんを見て私は冷静を取り戻した。


仲良く、とは言ってもどうせ今だけだろう。


｢わかりました｣


｢えぇ！？ちょ、まじすか？｣


わかりやすく混乱、というか焦った様子の葛葉さんを横目に、


｢本当ですか、ありがとうございます！｣


とまるで母親かのように叶さんが言った。


そんなにお礼を言われるほどの事なのだろうか。


しかしこれ以上彼らについて何か知ることに


少し否定的な感情と違和感が生まれたから、


もう何も聞かずに2人を帰した。









…全く。


久々の早帰りだったと言うのに、こんな目に遭うとは。


実際、日付が変わる前に映画1本全部見ようと思えば見れるのだが、


あんなことがあった今、何もする気にならない。


よし。一旦、頭の中を整理しよう。


この部屋にはもう私しかいないから、と思って立ち上がり、


探偵が名推理を披露するかのように部屋中を歩き回りながら


｢今日私が遭ったのは吸血鬼で、名は葛葉。｣


などと独り言を呟く。


いや、架空の人物に聞かせている。


｢隣人の名は叶。彼らはどうやら親しい友人同士のようだ。｣


1つずつ口に出して、頭の引き出しに綺麗に詰めていこう。


｢葛葉さんの容姿、また様子は吸血鬼と言われても信用出来た。それに叶さんの証言がある。｣


ただ、叶さんの発言は葛葉さんに訪問された際に口裏を合わせることが出来たのだ。


｢でも、あの短時間で出来るのか？2人の賢さでなら可能ではあると思うけど…｣



人生、何があるかわからない。


その言葉が自分の心にゆっくり溶け込んでいった。

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