【2j3j】不法侵入者は吸血鬼らしい【kzh】

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日曜日。


片手にカステラを持って叶さんの部屋の前に立つ。


何故か緊張してきた。


微妙に震えた手でインターホンを鳴らす。


｢は〜い、こんにちは〜｣


いつもの3倍くらいほわほわした叶さんが出てきた。


｢こんにちは！これ良かったら、｣


｢あ、ありがとうございます〜！どうぞどうぞ〜｣


叶さんに通されて中に入った。


シンプルで、綺麗に整頓された部屋だった。


私の部屋とは大違いだ。


｢あ、｣


ふと目に入った猫のぬいぐるみ。


光沢のない大きな瞳と笑った口が特徴的で可愛い。


しかし、この前の叶さんの意味深な表情を思い出してしまい


少しだけ怖くなってしまった。


私は、印象的なことは長く覚えていられる能力を持って生まれてしまった。


良いような悪いような…


｢汚い家ですいません、｣


｢全然！！すごい綺麗ですよ！｣


｢ありがとうございます｣


そう言い優しく微笑む叶さん。


先輩が前の飲み会で私に言ってくれた、


｢優しい男は注意しろ｣をこのタイミングで思い出してしまった。


注意と言っても何をどう注意すればいいんだ？


え？先輩他に何か言ってたっけ…んー……


｢大丈夫ですか？｣


｢うわぁ！！！！！｣


顔を覗き込んできた叶さんとの距離が余りにも短くて驚いた。


心臓の動きが早くなった。


叶さんはこの状況が面白いのか肩を震わせて笑っている。


…先輩の言っていたことが理解出来た。


優しい男は注意が必要だ。

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