榎本家の美女【あなたの番です】 (ページ31)

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第29話ページ31

『あの…一つだけ聞いてもいいですか?』

水「はいはい?なんでしょう?」

『カツ丼って出ないんですね』

「「………ﾌﾞﾌｯ!」」

『???』

そう。私が疑問に思ってたのは取り調べなのにカツ丼が出ない事であった。別にお腹が空いてるわけじゃないけど、ね?出るもんだと思ってたから。

少し間を開けて吹き出した刑事さん達を見る。水城さんや記録書いてる刑事さんは爆笑してるしあの神谷さんさえも口元を抑えながら肩を震わせてる。

神「ふぅ…ｺﾞｯﾎﾝ。水城さん笑いすぎです」

水「はぁ～…いやぁ。ごめんね?まさかそんな質問されるとはおじさん思わなくてね」

『いえ。あのもしかして取り調べでカツ丼が出てくるのって…』

神「ドラマだけですね…お腹空いてたんですか?」

やっぱり、そうですよねー…。神谷さんに私の印象が食いしん坊って思われたよね、これ。

『お腹は空いてないです!疑問に思っただけなので』

水「でも、神谷も入社して来た頃に同じ事言ってたよなぁ～!」

神「…水城さん余計な事言わないでください。それにそんな昔の事は忘れました」

水「かぁ～ｯ!ホント可愛げ無いね、お前」

『ふふｯ』

2人の会話が面白くてつい笑ってしまう。記録していた刑事さんはこの2人いつもこうなんですよ。と微笑みながら言うから新しい発見が出来た様で嬉しい。

そんな私を見てか、神谷さんは溜息を吐いた。もしかして、笑い過ぎてしまったかな?ごめんなさいと口を開けようとした所神谷さんに遮られた

神「……私はAさんと用事があるのでお先に失礼します。」

水「えぇ?!!待って待ってぇぇえ!?いつから名前呼びにして?!え、えぇ…そういう関係なのぉ～、君達?」

神「いい加減黙っててくれますか?…ほら、行きますよ」

『わっ、かっ神谷さん?!』

水城さんが色々言ってるけど神谷さんはそれを無視して私の手を引き取り調べ室から出る

神谷さんに手を引かれながら廊下を歩いているのだけど、握る力が強くて手首が痛くなってきた

『神谷さんｯ…』

神「あ?」

『っ…ご、ごめんなさい。て、手の力緩めてほしいなぁ…って…』

神「ﾊｯ…すみません…。手首痛かったですよね…」

『…少しだけ…。でも、気にしないでください』

別に神谷さんに手を握られてた事に嫌な気はしなかった。少し手首は赤くなって痛かったけど本当に気にしないでほしい。