35.負けない ページ35
唯Side
唯「ただいまー」
家に帰って
ガチャ、と扉を閉めた後
母「おかえり」
「おかえりー」
リビングにまだAの姿があるのを見て、なんだかため息が出そうになった。
唯「...、」
そんな自分が、心底嫌だった。
「ごめんお腹空いて晩御飯先食べ始めちゃった」
唯「あーうん、大丈夫」
フイッとAから目を逸らす。
あー、やばい
...こんな態度、とりたくないのに...
唯「(今、全然Aに優しくできない...)」
母「唯の分もすぐ出すねー」
唯「ママ今日私、部屋で食べる」
母「あそう?じゃああとで持ってくから先に着替えておいで」
唯「うん」
Aの方を見ることなく、早歩きで階段を登り出す。
ガチャ
唯「...」
バタンッ
部屋のドアを閉じた途端
唯「...さいあく...」
ドアにもたれかかったまま
ズルズルと座り込んだ。
唯「(Aは悪くないのに...)」
それでもやっぱり今は顔を合わせられない
優しくできない
唯「...私いつからこんな嫌な女になったんだろ...」
_
ASide
母「なんか唯変じゃなかった?」
「...うん...」
カレーをもぐもぐしながらさっきの唯を思い出す。
唯がリビングじゃなくて部屋でご飯を食べるのは珍しいことじゃない。テスト前なら尚更。
でもさっきは
なーんか元気なかったし、ずっと目線が下だったな。
「テスト前だからかな?」
母「そうかもねぇ...
Aもあんまり無理しないようにね」
「はーい」
食べ終わった皿を、キッチンに持っていく。
「ご馳走様ー」
母「はい、ご馳走様」
お母さんに渡した後、自分の部屋へと向かう。
途中見えた、鏡に映る自分を見てギョッとした。
「クマ、えぐっ」
「....」
“無理しないでね”って言われても
するよ
だって勉強のしすぎで死ぬわけじゃない
血だって出ない
だから、限界までやる。
唯に負けたくないんだもん
双子の唯にできて私にできないことなんかない。
持って生まれた才能は一緒。
だからこそ
努力の差では絶対負けたくない。
「はぁ、がんばろ...」
そう呟いて、冷蔵庫から持ってきたモンスターエナジーをぐい、と飲み込む。
結局その日からテストが終わる日まで
学校でも、家でも
唯と顔を合わせることはほとんどなかった。
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はぐきぐきぐき(プロフ) - ぷよーこさん» ぷよーこさん、いつも読んでいただきありがとうございます😖💖ゆっくりではありますが更新していけたらいいなと思います💖応援ほんとに力になります!! (4月17日 22時) (レス) id: b1c2e7a752 (このIDを非表示/違反報告)
ぷよーこ(プロフ) - どんどんお話が進んで行って、ワクワクドキドキしながら読んでいます。今後も、ご無理なさらないペースで更新いただけると嬉しいです。 (4月4日 18時) (レス) @page40 id: 7d400068d9 (このIDを非表示/違反報告)
はぐきぐきぐき(プロフ) - 蚊に刺されさん» 蚊に刺されさん、コメントありがとうございます💖これからも4人の行く末を見守っていてください☺️ (4月3日 20時) (レス) id: b1c2e7a752 (このIDを非表示/違反報告)
蚊に刺され - 今後の展開気になる〜!!!応援してます (4月2日 10時) (レス) id: 99eb40f4e9 (このIDを非表示/違反報告)
はぐきぐきぐき(プロフ) - 野桜いちごさん» 野桜いちごさん、コメントありがとうございます💖応援本当に力になります🥲これからも読んでいただければ幸いです☺️ (3月31日 22時) (レス) id: b1c2e7a752 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はぐきぐきぐき | 作成日時:2024年1月28日 21時